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ミステリは「始まりと終わり」が決めやすいジャンル

 物語には始まりと終わりが必要だが、どう始めてどう終わるかも、また難しい問題だ。書き手が「これで終わり」と決めればそこが終わりだし、いつまでも迷っていたら、永遠に「了」の字は打てない。

 ミステリの新人賞ではさほどでもないが、応募原稿の割と多くに、「朝起きてから、夜寝るまで」の話があったりする。それはきっと、起点・終点として分かりやすいからだろう。しかし、日記ではなく小説なのだから、そこにはやはり、物語の駆動力としての起点が欲しい。冒頭には美しい謎を、だ。

 そしておそらく、ミステリは「最も始まりと終わりの作りやすいジャンル」である。

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 事件や謎の発生が物語の発端となり、解決で終わる。こんなに分かりやすいことはないし、それで文句を言う人もいまい。

 恋愛や人生を描いた作品は、どこかの局面で一区切りすることになるが、死で終わらない限り、その後も登場人物の人生は続いていく。たとえ主人公が死んでしまっても、周りの人々は残る。意地悪な見方、言い方をすれば、「もうちょっと読みたかった」とか、「書き過ぎだ」とか、そんなことがいくらでも言えてしまう。

 その点ミステリは、細かいところはともかく、大枠としての「終わらせ方」に迷うことはないはずだ。

書けるだけ書いて投稿しまくる

 最終的にはもう、とにかく書けるだけ書いて投稿しまくる。応募しなければ受賞はないのだ。

©iStock.com

 ただ、愛着があるのは分かるが、一度落ちた原稿を、ちょっと手を入れて他の賞に回すのはお勧めしない。事務局は、他の新人賞の通過情報もチェックしているから、似たタイトルや同じペンネームにはすぐ気付く。

 厳密には二重投稿ではないけれど、「他にテーマの引き出しはないのかな」と思われてしまうし、なにより、どんどん新しい作品を書けないようでは、デビューしても、すぐに行き詰まってしまうだろう。