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 “親”ではない存在として築く、子との信頼関係

 美里さんは、入籍も同居もしていないけれども、いまでは「おじさん」を「家族」だと思っています。「おじさん」が重要な存在であることは、学生時代に大学を中退するかどうかを悩んだときのエピソードにあらわれています。大学中退という人生を左右しかねない大きな決断について、まず「おじさん」に相談して背中を押してもらうことで、実母に言い出せるようになりました。このような信頼関係の築き方もアリです。

 大学に行ったんですけど、ちょっと嫌になってやめようかなってなったときに、「こう思うねんけど」みたいなことを相談しました。(「おじさん」には)「わしは、その、ほんまのお父さんじゃないし、そんな強いことは言えへんけど、まあお前の好きにしろ」みたいなことを言われました。(中略)結局その学費とか払ってくれてるのが母なんで、結局はもう母に言わないとあかんし、結局は母には言ったんですけど、何かいきなり母に言うよりも、おじさんに先言って、こう、間に入ってもらったほうがちょっと何か言いやすかった。

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 成美さん(20代前半・女性)は、小学校低学年のころに実父と別居することになりました。その後も数年は家族旅行をするなど交流は続いていましたが、だんだんと交流が途絶え、高校生になるころに両親は離婚します(数年後に、実父は病死)。その後、実母の友だちとして後の継父があらわれ、突然家に来るようになって、当初は嫌悪感や拒否感を持っていました。その交際相手とできるだけ顔を合わせないようにして、実母に対して彼(後の継父)には自宅のお風呂を使わせないでほしいと伝えていました。それなのに、継父がお風呂を使っていたことがわかり、約束が破られたと怒りをぶつけます。祖父母にも話して気持ちを実母に伝えてもらい、実母は娘の感情に配慮して、家に交際相手を呼ぶことはなくなりました。

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 まあそれでも、(現在の継父に風呂を使われて)どうしても我慢できなくなったときがあって、「来ないで」って言って、もう何か家で相談じゃないですけど、祖母、その、母方の祖母とか祖父を呼んで、その、話をしたことはあるんですけど、そのときにもう(彼は)何カ月か来なくなって、母はそっち(彼)の家に行く感じになっちゃったんですけど。

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 成美さんの実母も、継父とは事実婚の内縁関係を続けており、お風呂事件があって継父が家に来なくなった数カ月のあいだ、実母が継父の家に行くという通い婚のスタイルをとっていました。この冷却期間のおかげで、成美さん自身の態度が変化していきます。