本当のお母さんとも行き来してるんで、私があなたのお母さんなのよっていう押し付けはしたくないんで、ただ彼(継子)はまだ子どもで私は大人だから、私はちゃんと責任を持って面倒みるわよだいじょうぶよっていう関係……。あまりだから、お互いが無理に私があなたの親なのよ、みたいなそういう感じにはしなくていいと思って。だから私の子どもたちと(夫)の関係も、無理にお父さんなのよっていうふうにはしなくていいと思ってるんですけど……。
継子の実母は隣町に住んでいることもあり、祝日・休日や長期休暇のときなど面会交流の機会は頻繁にあります(直子さんの実子は、実父が遠方に住んでいることもあり、直接的な交流は年に1回程度)。実母は部活の試合や運動会など学校行事にも参加するため、直子さんと現場で遭遇することもあります。親しくはなくとも、実母と継母が、母親役割を実質的に分担するような関係にあります。継子と実母との交流を断ち切らないことによって、継子からの信頼を得て、継子との関係は安定的に発達していると感じられています。継子の「母親」は実母であって、直子さん自身は「責任をもって面倒をみる存在」あるいは「保護者」であるという肯定的な自己認識は、再婚初期から変わっていません。(*2)
*2 菊地真理『ステップファミリーにおける家族関係の形成と対処支援の研究―継母のストレス対処過程のメカニズム』奈良女子大学大学院人間文化研究科博士論文、2009年、全161頁
最初から母親、お母さんがいますからね。そのお母さんと会うことを禁じてないし、関係を断ち切らそうということを最初からしてないんで。本人にとってはお母さんはそっちですよね。(中略)彼(継子)にすごく何かを求めるということはなくて。……お互いの距離感みたいなものはしっかりできてるし。彼も安心なんだと思いますね。お母さんのところへ行くのに絶対文句も言われないし。(中略)安心してる、そういう面では私に対しては信頼してくれていると思うんですね。そういう意味で言えば、この子たち(実子)に対しても、(夫は)自分を父親と思えっていうことは絶対ないですから。