1ページ目から読む
4/5ページ目

実母が「お母さん」で、継母は責任をもって面倒をみる「保護者」

 今度は継親の立場から、「親」ではない存在として継子との関係づくりをしてきたという事例を紹介します。

 直子さん(40代前半・再婚継母)は小学校低学年の2人の子どもを連れて夫と再婚しました。夫にも同じ年頃の男の子が1人います。再婚してから7年が経ちますが、ふたりの実子は実父と、継子は実母と、それぞれ離婚時から再婚後も変わらず交流を継続しています。それぞれの別居親と子どもたちとの交流を継続することは、直子さん自身の強い信念によるものでした。

©iStock.com

 再婚することによって生活環境や名前が変わること、それまで近くに住んでいた別居親とは簡単には会えなくなってしまうことなど、何がどう変わってしまうのかを子どもたちに説明します。そして、この状況について「ある程度はわかっているうえで」、子どもたちの了承を得てから再婚を決断しようとしました。なぜなら、子どもたちが「納得」したうえでなければ、彼らがステップファミリーとしての生活を受け入れられないと考えていたからです。

ADVERTISEMENT

 基本的に実父と実母との関係を断ち切るようなことはしたくなかったのね。離婚をするのは親どうしの都合で離婚したわけで、再婚するのも親どうしの都合で再婚したんで、子どもたちからすれば一緒に暮らしてないけれど、お母さんはお母さんで、お父さんは好きじゃなくなったかもしれないけど、自分はずっと好きなわけじゃないですか。私が(「母親」)とかいうふうに主張してしまうと(実母とのあいだで)板ばさみになったりする……。それはかわいそうだし、嫌だったんです。

 継子に対しても同じように、月に一回ある実母との面会交流を尊重し、直子さん自身は「母親」ではない存在として関係づくりをしようとします。双方の別居親子の関係が先にあって、継親は後から継子の人生にかかわることになった大人(第三者)だという事実にもとづいて、考えられているからでしょう。このケースでも、ステップファミリー以前の家族史にタブーはありません。直子さんは継子から「直子ちゃん」と呼ばれていて、責任をもって日常生活の面倒をみるという役割にあると考えています。夫に対しても、元夫との間の子どもたちの「父親」になることを求めることはありません。