文春オンライン

一度は事務所を辞めて海外のべーカリーで「パンを焼いていた」24歳元アイドルが活動再開で最も苦労したこと

元さくら学院武藤彩未さんインタビュー#2――アイドル戦国時代を振り返る

2021/01/09
note

――爆発というと?

武藤 すべてを投げ出してしまいそうになったんです。その時にオンとオフを切り替えて、息抜きすることも大切なんだなと学びました。

――そんな素振りを表では見せなかったのはすごいと思います。

ADVERTISEMENT

武藤 本当ですか? でも、当時は当時で楽しんでいたし、あの頃があったからいまの私があると思ってます。

――自分のオリジナリティを見つけるために外に出ようと。

武藤 外に出ようというより、一旦リセットして、自分に力をつけたいと思ったんです。環境に甘えちゃいけないなって。それで海外留学を選びました。

「ベーカリーでパンを焼いてました(笑)」

 

――日本に戻って復帰することは前提にあったんですか?

武藤 自分を見つめ直すための旅だったので、「このままやめてもいい」くらいの気持ちでいました。事務所もやめて、留学の期間も決めず、とにかくリセットしたかったんです。もし留学中に「またイチから歌いたい」と思ったらホンモノだなと思って。

――留学先にニュージーランドを選んだ理由は?

武藤 幼馴染が留学していて、いい話を聞いていたんです。信用できる人の意見が一番参考になるじゃないですか(笑)。ニュージーランドは自然にあふれていて、現地の方たちもみんな優しくて。ホームステイ先のお父さんとお母さんは、いまも「曲を聴いたよ」「MVを観たよ」という連絡をくれるんです。のびのびと生活できました。

――英語の勉強が中心だったんですか?

武藤 英語の学校に通いながら、人生で初めてのアルバイトをして。

――どんなバイトをしたんですか?

武藤 ベーカリーでパンを焼いてました(笑)。学校で1年勉強したうえで、言語は実際に使わないと身につかないと思ってアルバイトを始めたんです。そこで貯めたお金でニュージーランド内やオーストラリアをひとりで旅行しました。

――精神的に自立したかった。

武藤 そうですね。いままで与えられることばかりだったので、留学を通して行動力が身についたかなと思います。

――留学しているなかで音楽にも触れる機会もありましたか?

武藤 何度かボイストレーニングを受けて、国によって練習の仕方が違うことも分かりました。発音も正してもらったんです。

――英語の歌詞に活かせそうですね。

武藤 もうちょっと練習が必要かもしれません(笑)。