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セックス・バカンスのために遠路はるばる向かう島

 ただし、日本人にとってのタイやフィリピンは言葉が通じないが、台湾人なら中国大陸でも言葉が通じる。加えて当時の台湾人男性には、過去の歴史的な経緯もあって中国大陸の女性に対して独特のフェティシズムを覚える人も多かった。

往年の下川島の置屋 ©ブログ『香港発アジア行』運営者まりりん

 ボッタくりや盗難に遭うリスクが比較的低く、また相手とのコミュニケーションに支障がないことから、女性と性行為以外の時間を一緒に過ごすことも苦にならない。加えて、仕事で訪問したついでに夜遊びをおこなう人も多かった東莞とは違い、下川島の場合は最初からセックス・バカンスを過ごすことだけを目的に、遠路はるばると向かう場所だった。

 そのため下川島の性産業は、男性が置屋にいる遊び相手の女性を1晩から数日間ブッキングして過ごせる形式のサービス「代妻(ダイチー)」が主流になった。2001年当時、島内で男性が女性と遊ぶ場合は、「短打(ドゥアンダァ[ショート])」が200元、女性と24時間一緒にいる「過夜(グォイェ)」が400元だったという。

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長寿を求めて少女を探す台湾老人

 記事によると、2001年当時の下川島で働いていた女性たちの約7割は湖南省出身で、次が四川省出身と、中国内陸部の貧しい地域の出身者たちが大部分を占めた。対して島を訪れる台湾人男性は、多くが50歳以上の「欧吉桑(オウジィサン[おじさん])」だった。『壹週刊』記事はこう紹介する。

 王府洲度假区(休暇村)内のビーチでは、ビール腹を突き出して少女の手を引いて歩いている中年男性をどこでも見ることができる。なかには白髪頭の「祖父と孫」のような組み合わせも少なくなく、とくに人目を引く。(記者と)同じツアー団の簡さんはすでに御年68歳、顔と手には老人斑が浮かぶ。彼は20歳ほどの四川省出身の女性の手を引いてビーチをゆっくり歩き「若いのはいいぞ」と、前歯がすべて抜けた口を開けて上機嫌で大笑いした。

 簡さんは「ここの女性は純朴で騙してこない。数百元をあげれば何でもできるし、ときには2~3人を全部連れ出して、一緒に食事をして眠っても、1000元もかからないんだ」と話した。

 18年も昔の話とはいえ、なかには明らかに犯罪的なエピソードもある。

 一昔前までの中華圏では、老人が若い娘と交わると陰陽の気が相互に補われて長寿の効果があるといった民間信仰が存在した。たとえば晩年の毛沢東も、回春を目的として未成年の生娘(きむすめ)との性行為に励んでいたと伝えられる。下川島もまた、台湾の老人たちのそうした需要に応える土地であったのだ。『壹週刊』の記者は、島内で少女にも直接取材し、こう書いている。