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「××社という出版社で働いています、○○です。本年度は××先生の本を担当しました」

「××新聞に入社しました、△△です」

「××というゲーム会社に就職しました」

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 優秀な同期たちはみなキラ星のごとくいい会社に就職している。誇らしげに自分の仕事を発表していく同期たち。この就職氷河期によくぞ入れたなぁという難関の人気企業ばかりである。

©iStock.com

「えー、借金回収!? コワーイ」

「……○○カードという信販会社で、債権回収をしています……N本です」

 そして、最後に私の番が来た。やせ細った私は、消え入るような声で自己紹介をした。発表が終わると私は逃げるように会場を去った。

「どこの会社で働いてるの? どんな仕事してるの?」

 そう聞かれる度に顔から火が出そうになった。

「督促って何?」

「えー、借金回収!? コワーイ」

 同級生の一言がグサグサと胸に刺さる。

 この会場にいるのは、みんな華やかに有名人と接して、たくさんお給料をもらって、誇れるような仕事をしている人たちばかりだ。なんで私はこんな場所に来ちゃったんだろう。

 いたたまれなくて、私は自分の何もかもが恥ずかしかった。

督促OL 修行日記 (文春文庫)

榎本 まみ

文藝春秋

2015年3月10日 発売