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しずる村上純が考えるコロナ以降の“幸せな芸人の働き方” 「たった一人に深く刺されば意味がある」「テレビにだけ頼るのをやめた」

2021/01/15

source : 文藝春秋 digital

genre : エンタメ, 芸能, 娯楽, 社会, 読書

note

テレビのイメージ商売は限界にきている

——今は、これまでテレビに出ていた芸人さんがどんどんYouTubeのチャンネルを開設しています。これも芸人の新しい働き方ですよね。

村上 広告の枠を前提にテレビ番組がある、という仕組みだったのが、自分たちの番組をアップしたら広告が入ってくる、というプラットフォームを選べるようになった。やっぱり、そっちのほうが自由なのかなと思います。僕らも“しずる公式チャンネル”という名前で、随時新作コントを上げています。

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——こうして芸人さんが多彩な活動をするようになると、「芸人」とは何なのだろうという疑問がわきます。

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村上 定義は人それぞれだと思います。簡単に言えば、コントや漫才、ギャグなどのいわゆるネタと呼ばれるようなものをやっている人が芸人というのがまずありますよね。でも、ネタをやってない人が芸人じゃないのか、といったらそれはそれで難しい。YouTubeで様々な企画動画をアップするのが主な活動で自分は芸人だという人はいると思うし、一方でロンブーの淳さんは「漫才やコントをやってないから自分は芸人じゃない」とおっしゃっていると聞いたこともあります。個人個人が何をもってして自分は「芸人」だとするか、だと思います。

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 僕は、吉本に入ったときはネタが手段だったんです。目的は売れることだったので。だから、テレビに出たくてコントをつくっていました。でもだんだん、手段だったはずのコントにプライドが生まれてきて、「コントを認められたい」と思うようになったんです。

——それはいい流れですね。目的があったからこそ、手段を一生懸命磨いて、それがいつしか目的になっていった。じゃあ、ネタをやらない芸人さんは、「タレント」になるんでしょうか。

村上 うーん、タレントっていう言葉っておもしろいですよね。意味としては「才能」ですよね。でも、何の才能なんですかね。「テレビタレント」はテレビの才能? テレビの才能って何なんですかね。