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悔しさと意地を捨てる

 お客さまの、男女であからさまに違う態度はなんだかとっても悔しい。でももしあのまま私が意地を張ってお客さまを抱え込んでいたら、最後まで回収できずに長期督促を行う部署へと債権が移ってしまっていたかもしれない。そうなったら私の個人成績だけじゃなく、会社としても損失になってしまうし、お客さまの信用情報にもキズがつく。

 自分が成績を上げたいからと苦手なお客さまを抱え込んでいても、いいことなんてない、と私は悟った。それからは、自分では難しいと判断したお客さまは強く言える男性社員にお願いし、逆に私は男性だと家族が警戒して電話を取り次いでくれない女性のお客さまを引き受けることにした。

 お返しにという気持ちで始めた女性への督促だったけど、今までどんな男性が電話をかけても話すことができなかったお客さまでも、私が電話をするとつながるようになり、いつもよりも早く回収できる債権が現れた。

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©iStock.com

 人には長所短所が必ずある。もしどうしても自分で回収できないのなら、プライドをしまって他人に頼めばいい。誰だってできないことがあるし、それを自覚することも一つの成長なのかもしれない。

お客さまタイプ別攻略法

 そういえば、お金を払ってくれないお客さまにもタイプがある。それに気づいた私は入金をしてくれないお客さまを4つのパターンに分けてみた。毎日が泣きたくなるような交渉の中で、お客さまを血液型別性格診断のように分類し、楽しむのは、ちょっと面白い。「お! このお客さまは××タイプかも!」とばっちり当てはまると交渉がちょっと楽しくなった。

 ちなみにその分類方法は、感情と論理、プラスとマイナスでお客さまをパターン化するもの。

 感情(+)は怒るお客さま、怒鳴ったり脅迫してきたりする人たち。

 感情(-)は泣くお客さま、女性に多い。

 論理(+)は、理詰めで攻撃をしてくるお客さま、いわゆるクレーマーと呼ばれるタイプ。

 論理(-)は、理屈が通じないお客さま。ひらきなおるタイプだ。

 そしてお客さま別に対処方法を考える。

 感情タイプはまずガス抜き。怒っているお客さまはひたすら怒ってもらうし、泣いてしまうお客さまは相手が泣きやむのを待つ。以前、クレーム専門のコールセンターで働く人にクレーム対策のコツとしてこんなことを教えてもらったことがある。