もとは下準備をするキッチンとして借りた場所
店主の瓦井三博さん(43歳)に人気のメニューを聞くと、かき揚げなどの「天ぷらそば」(450円)や「春菊天そば」(450円)、「ミニカレーセット」(600円)などのセットメニューだというので、「春菊天そば」に即決して、「いなり」(120円)とともにいただくことにした。
注文している間に瓦井さんにお店の開店の経緯などをいろいろ聞いてみると、それがなかなか面白い内容だった。
「そば三」は2020年10月に開店した。それまでは武蔵小山パルム通りの東急ストアの2階で「三びきの子ぶた」という親子カフェを奥さんと一緒に順調に経営していたそうだ。
ところがビルの耐震不足の影響で閉店することに。ちょうどキッチンカーを所有していたので、イベント会場などでフードトラックを営業しようと考え、今の場所に下準備などをするためのキッチンを借りることにしたのだという。
半径600m範囲にそば屋がない
しかし、コロナ禍でイベントは激減し、キッチンカーの出番がしぼんでしまった。そんな時、今の物件をよくよくみてみると、元小料理屋だった内装はなかなか綺麗で、少々の改装で十分飲食店ができることがわかってきたという。しかも、「隣は焼肉店ですが、ほかに昼飯を提供している飲食店が少なく、そば屋がほぼないことがわかったんです」と瓦井さんは言う。
確かに開店前に1時間ほど散策して、飲食店が少ないことは自分も気が付いていた。コンビニは点在するが、弁当屋や総菜屋、そしてそば屋も見当たらなかった。後日、地図で調べてみると、確かに半径600m範囲にそば屋は見当たらなかった。
瓦井さんは「働いているひとは多いし、古くから住んでいる人も多い。マンションも多いので家族連れも多い。それでこの場所で、気楽に入れる大衆そば屋を始めようと考えるようになった」という。
そんな話をしていたら、「春菊天そば」と「いなり」がちょうど出来上がった。