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住んでいた家の壁には「残殺」「虐殺」「なぐれ」の文字も

 もっとも、中国共産党が政治的な敵対者に対して、多分にデマを交えた徹底的な中傷を展開することは、往年の反日デモの際の日本企業バッシングなどでもお馴染みだ。

『反全能神聯盟網』の主張は、相当な脚色が施されている可能性が高く、充分に注意して読む必要がある。

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 ――しかし、プロパガンダではなく事実だとみられる過激な事件も起きている。

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 その代表例が、2014年5月28日に全能神の信者を名乗る男女が起こした「山東省招遠市マクドナルド殺人事件」だ。まずは報道をベースに事件の概要を見ておこう。

 山東省煙台招遠市内のマクドナルド店内で5月28日、男女6人が女性を取り囲んで殴り続けて殺害した事件で、中国の警察当局は同月31日、「容疑者6人はカルト集団の構成員だった」と発表した。容疑者6人と殺害された女性に面識はなく、勧誘のために電話番号を聞かれたが拒否されたことで暴行が始まったとされる。中国メディアは6人が所属していたとされる新興宗教集団「全能神」の危険性を強調する記事を配信しつづけている。

 事件発生は5月28日夜。殺害されたのは今年36歳になる女性の碩燕さん。夫と7歳の息子、夫の母と暮らしていた。28日夜には市内のマクドナルド店で夫と息子とともに食事をした。その後、夫は息子を遊ばせるために、先に店を出た。呉さん1人が店に残った。「惨劇」は約20分後に発生した。

 店内にいた「全能神」の信者である男女6人が、呉さんを入会させようと勧誘。電話番号を尋ねたが、呉さんは応じなかった。すると6人は呉さんを囲んで殴り始めた。店関係者や他の客が止めようとすると、殴りかかられたという。

 警察官が駆け付けた時、6人は呉さんを引き倒して、全身をけったりアルミ製のパイプで頭部を殴りつけていた。6人は警察官にも殴りかかるなどで抵抗した。応援の警察官が多数駆けつけ、近くの大型店舗の警備員も協力して、6人を取り押さえた。呉さんは病院に搬送されたが死亡した。

 容疑者6人のうち成人の男は1人で、娘2人と未成年の息子、さらに家族関係はない女2人。警察は刑事責任を問えない未成年者1人を除く、5人の身柄を拘束した。

 警察によると、6人は同じ家に住んでおり、周辺住民への聞き込みにより、5月28日の事件発生以前に、犬を殴り殺すなどしていたことが分かった。また、住んでいた家の壁に貼っていたボードには「残殺」、「虐殺」、「なぐれ」などの文字が残されていた。

『サーチナ』「マクドナルド店内撲殺事件で中国各メディアが〈反カルト〉記事掲載」2014年6月2日

 ※原文の明らかな誤字脱字は修正した