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日本の“エロ本“は消えるのか…伝説の編集者が語る「想像しうる限りで最悪の事態」

最後のエロ本編集者たち――ミリオン出版「俺の旅」生駒明編集長 #2

2021/01/24

「想像しうる限りで最悪の事態」

「密を避けてください」「夜の街には行かないでください」。国民全体へ連日のように呼び掛けられるスローガン。そんな状況下では自身が追い求めた“本物の風俗情報”なんて、なんの役にも立たない。よりにもよって、全国を旅して風俗に行こうという『俺の旅』である。コロナの世界では、反社会的なテロ行動と言われてもしょうがない。これまでとは違った深度で、世間から必要とされていないことを肌で感じとっていた。

©️AFLO

「風俗店がやっていけなくなれば、風俗メディアの命脈である広告数が激減します。風俗情報誌もサイトもいくつも終わりました。そこで生きている僕たちは虫の息です。連載も一部終わり、収入は会社にいた頃の半分以下。これまで苦しめられて来た『アダルト規制』とか、『紙媒体が売れない』とか、『東京五輪』なんて、コロナに比べたら全然ですよ。“風俗”で生きているすべての人たち。店、女の子、出版社、ライター。みんな大変です。まぁ……想像しうる限りで最悪の事態になってしまいました。ここからどうすればいいのか、猶予は2年ですね」

「俺の旅」を捨てる?

 徳川家康は関ケ原の戦いから3年で幕府を打ち立てた。それに倣ったわけではないだろうが、イコマは独立から3年となる、2022年までを猶予の期限と考えた。

「今はコロナでやれることも少ないですけど、デジタル化も含めて何ができるのかを手探りで模索して、試行錯誤している状態です。コロナの拡大状況も含め、様子をみながら今後の人生設計を決めたいですね。仕事が増えたら、会社を大きくして、夢のある会社にしていきたいけど、もしダメだった時は、別の道も考えなければいけない」

 それは自分の分身であり、最愛の友であった、「俺の旅」を捨てるということか。