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「生きていくうえで別の仕事をする可能性があるということです。

 ただ、『俺の旅』は終わらないですよ。1000年続く『俺の旅』も諦めたわけじゃないです。それで生活できる金が得られなかったとしても、どこかの誌面の隅っこにでも細々と続けていければいいし、もしもそれを載せる場所すらなくなったとしても、出版という形態じゃなくてもいいのかもしれない。特にいまはYouTubeでもnoteでも、個人が自由に発信できます。風俗だと規制はありますけどね。

 たとえどこの媒体からも拒否されたとしても、生駒明の生き様を発信すれば、それは『俺の旅』なんですよ。風俗は誰かを救えるんです。いいものなんです。その絶対的な理を、世の中の人にわかってもらうためにも、俺は『俺の旅』を続けていかなければならないんです。まぁ……でも現実は厳しいんですけどね」

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©️iStock.com

 イコマは「俺の旅」が時代に負けたとは思っていない。たとえ「エロ本」という土壌で生きることができなくなったとしても、商売としての実態が伴わなくなったとしても、「俺の旅」は概念として1000年続いていく。そういうことなのだろうか。

 行き過ぎた話だ。見ている次元が違う話をしているように思う。なぜ、ここまで狂信的になるのか。

「エロ本はもうなくなっていきますが…」

「それを見た誰かがバトンを受け継いでくれればと思うんです。風俗は人と人とのつながりです。いま、誰からも相手にされずに生きることに絶望している人がいたら言ってあげたい。この世の中はそんなに悪いところじゃないって。自分を救えるのは自分だけです。諦めずに必死に求め続ければ必ず幸せになれる。私は、それを実証するためにいま生きているような気がします。エロ本はもうなくなっていきますが、これから続く若い人たちに、自分の身をもって示したい。人間としての生き方を。エロ本は死んで、イコマも死んでも、『俺の旅』という僕の生きてきた道は1000年先を目指して続いていく。それだけは今も1ミリの疑問もなく信じています」

 本当のことをいえば、最初のうちはとんでもなくバカげた話だと思いながら聞いていた。だけど、いまはこの男の狂信的な風俗愛と熱情に、得体のしれない感情が蠢いてしまっている。無理だとは思うけど。引き続きイカレてるとは思うけど。

 世界が孤独である限り。

 終わらない旅、俺の旅。イコマの旅は続いていく。

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