試行錯誤の連続の上にたどり着いた、至福のサウナ
「ありがたいことに1号棟はたくさん予約が埋まるようになっていたんですが、コロナでかなり暇になってしまいました。じゃあその間にスタッフみんなで、新しいサウナ作っちゃおうと。しかも1号棟を超えよう!という目標を作った。
フィンランドに行った時にとても感銘を受けた2階建てのサウナがあったんです。1階は熱くないのに2階に行ったら熱いという。まだ日本で体験できるところはないから、2号棟はそれにしようと思って。
1号棟は平屋のログハウスという至極まっとうなやり方で建設しているんです。もちろん試行錯誤はしましたけど、とてもミニマルで機能的なので、温度や湿度のコントロールもしやすい。それに比べ、今回の2号棟は2階建てというトリッキーな作りを目指したんで、かなり苦労しました」
日本ではほとんどお目にかかったことのない2階建てサウナ。完成への道のりは、1号棟の何倍もの試練の連続だったという。
「温度計は100度くらいを指しているんですけど、体感ではその感じが全然なくて。1号棟のじんわりくる熱さが全くなかったんです。何がだめなのか研究した結果「ストーブと建物の構造があっていないのではないか?」という仮説にたどり着いて。さらに色々調べていたら、ストーブとレンガの間に温かい空気を吸収しないで上昇させるために鉄の板が必要だと分かりました。それらしきものをピンタレストで見つけたんで、作って設置してみたんです。そしたら見事に熱の対流が起きて。みんなで喜んだのも束の間、今度は足元の冷えがおさまらないという問題も起きて。スキ間に全部断熱材沢山入れて対処したり。問題を一つ解決すると別の問題が起こる。今はだいぶ落ち着きましたけど、まだ毎日試行錯誤の連続です(笑)」
野田達の話を聞いているとこれこそ究極のOJTという気がすると同時に、これからの世界における会社のあるべき姿や働き方のヒントも隠されているような気がしてくる。齢26にして自らサウナを作り上げ、自分探しの旅の第1章を終えたこの若者は、今、何を思うのか。