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展示会当日の発売中止事件

 そうした中、2002年6月発売予定だった『灼熱牙王(ロデオ)』という機種が、展示会当日発売中止になるという事件が起こります。

2002年『灼熱牙王』の展示会では、急きょ電源が落とされた実機が並ぶという、異様な光景が見られた

 この機種は、ボーナスの獲得枚数を減らす代わりにタップリと溜め込み、サブ基板のアシストとともに30連発以上の吐き出しも期待できる、などというゲーム性を示唆するCMを流しており、人気機種となる以前の段階でお蔵入りになってしまいました。

パチスロ史に残る超ド級のギャンブルマシンも検定取り消しに

 そうした動きを受け、同年にはメーカー組合が4.5号機として「1日の出玉上限1万枚自主規制」を発表したものの、厳しい規制の流れは止まらず、2003年10月4.1号機の3機種が検定取り消しに。

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『ミリオンゴッド(ミズホ)』
『アラジンA(サミー)』
『サラリーマン金太郎(ロデオ)』

 これらは、確率の低い一撃の役を引けば数千枚、数万枚のメダルが吐き出される期待があるというハチャメチャなギャンブル性で人気を集めた顔ぶれでしたが、いずれも性能試験でパスするはずがない出玉を、サブ基板で操っていたというところが当局の怒りを買ってしまった……と言われています。

当時のパチスロの勢いはプロモーションにも反映された。写真は2002年、新宿のど真ん中でラクダまで用意されて行われた『アラジンA』の宣伝
設置ホールで配られる『ミリオンゴッド』の遊技説明書には、当初「一撃5000枚!!」などの射幸心を煽る文言が掲げられていたが、途中から変更されている

 私も3機種を打ったことがありますが、当時のホールはまさに「鉄火場」。店内には何万枚も獲得した人の写真やデータが貼られ、それを見ながらみな大爆発を夢見て万券をぶち込むのです。大きな箱にメダルを溢れさせている人には羨望と嫉妬のまなざしが浴びせかけられるなど、先ほど紹介した『ワイルドキャッツ』のカタログのイラストのような、いや、それ以上に危ない顔つきのプレイヤーがあちこちにいるという、異様な光景でしたね……(自分はそうじゃなかった、と思いたいですが笑)。

 ちなみに以前の検定取り消しとは異なり、この時はメーカーへの罰則(3年間の検定持ち込み禁止など)は行使されないまま代替機に入れ替える方針となりましたが、間もなく5号機の規則が公布されたため速やかな撤去が推進され、ファンの元から姿を消していきました。