松永は絵里子さんに、布団訪問販売会社の社長をやっていると説明。“やり手”であることを演出するため、店ではかなり派手にカネを遣っていた。
「部下や取引先などを連れて10人くらいでやって来ては、キープボトルを2本入れたり、来られるときは、2日連続で来店したりもしていました。私に『今度いつ(店に)入るの?』と聞いてきて、私が入る日に合わせて来てくれるようになり、私が店に出ていない日は、『(松永が)飲みに来ない』とママに言われたりして、悪い気はしませんでした」
そんな松永の酒の飲み方について、絵里子さんは次のように話す。
「けっこうお酒は飲みますね。銘柄はいつもヘネシーです。水割りで薄くして飲んでました。あと飴。龍角散の飴とかあるでしょ。あれを必ず舐めとかないとダメなんです。煙草はショートホープを吸っていました。あの人の趣味って音楽なんです。徳永英明とかが好きで、歌はうまかったですよ。歌うときの声は高め。ファルセットも使うし。徳永英明の『最後の言い訳』やイルカの『なごり雪』、ばんばひろふみの『「いちご白書」をもう一度』なんかを、自分から進んで歌ってました。松永は飲むと、けっこう人を観察していましたね。ちょっとボーッとしてたりする人がいると、『もう××さんは、帰りたいと思ってるんだよ』とかって指摘するんです」
緒方は単なる従業員だと思っていた
交際が始まってから、松永は会社の接待にも、絵里子さんを同行させるようになった。
「それこそ1カ月以上連絡が取れなかったり、急に電話があって、『会いたい』って言われたりとか……。その時代だから携帯もありませんよね。だから自宅や職場に電話がかかってきて呼び出されるんです。それで食事に行ったり、車でドライブしたり……。私は車の免許を持ってなかったので、松永がシーマを運転して迎えに来てました。ただ、なかなかふたりで会う時間というのはなくて、彼が仕事でどっかに行き、久しぶりに帰って来たと説明されたときに、『ふたりで会う時間がなかなか取れないんで、接待のときに同行してほしい』って。それからは私も彼の接待について行くようになりました」
松永は自分の部下や接待相手に対して、絵里子さんのことを、「僕の彼女」と説明していた。そんな“部下”のなかには、愛人として本社ビル3階に住ませていた緒方純子もいた。
「緒方は、松永と最初に店で会ったときも部下として来ていたので、単なる従業員だと思っていました。疑ってもいなかったです。途中で彼女が(ワールド本社ビルに)住んでいることに気付きましたが、それを聞いたら松永は、『(緒方は)家を追い出されたから』と説明したので、真に受けていました」