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“荒れ地の小駅”だった「池袋」…世界3位のカオスな“ダンジョン駅”になる前には何があった?

2021/02/01
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池袋の本質は…

 結果として、池袋駅の旅は東も西も歓楽街の中を歩いてそびえるターミナル百貨店を眺めるばかりになってしまった。ビックカメラのほど近くにはヤマダ電機の日本総本店もあったりして、家電の街じゃないかという声も聞こえてきそうだが、この点ではヨドバシカメラの新宿西口や秋葉原などにはかなわない。やはり池袋駅といえば、歓楽街と百貨店に本質があるといってよさそうだ。

 

「いけふくろう」以外にも実はあちこち“ふくろう”がいる

 そう思いながら、東口からパルコの間を抜けて北側の地下通路に向けて階段を降りた。すると、階段の下で待っていたのは「いけふくろう」。“いけぶくろ”と“ふくろう”をかけ合わせた、つまりはダジャレだ。ダジャレのいけふくろうだからくまモンとかチーバくんのような独特の風体をしているのかと思ったら、意外と普通にふくろうである。

 このいけふくろう像は1987年に設置されたもので、JRが発足してなにか駅の待ち合わせスポットはできないものかとJRの池袋駅によって設けられたという。その後、2006年に近隣の小学校から寄贈された子ふくろうの像が傍らに置かれ、今の形になった。

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 確かに池袋駅、東口も西口も百貨店で囲まれているし、JRの改札周辺も通路がいくつも通っているのでここぞという待ち合わせスポットには欠けている。いけふくろう、目印にはぴったりである。

 が、階段のすぐ下という場所柄、待ち合わせをしている人が多すぎると混み合ってしまって歩くのも大変だ。渋谷のハチ公前もそうだけど、ターミナルの待ち合わせスポットというのはそうしたものなのだろう。

 

 実は池袋の地名の由来として“池にふくろうが生息していたから”という説があるらしい。この説が真実であるかどうかはともかく、単なるダジャレじゃない、と言いたいのだろうか。実際、ふくろう像は池袋駅だけではなく街のあちこちに点在しているそうだ。豊島区のホームページには、「ふくろうとつながりの深い豊島区」などというナゾの一文がある。まあ、思えば確かに、歓楽街に四方を囲まれた駅。“夜ふくろう”は少なくなさそうである。

写真=鼠入昌史

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