学校の担任、部活の顧問、同級生の親に電話をかけ、近所のコンビニをのぞき、最寄の警察署へも相談しました。Aさんはその前週に長女から深夜までLINEとYouTubeで寝不足になっていたことを理由にスマホを取り上げており、それを悔やんだそうです。結局、何の手がかりもなく22時に帰宅すると、玄関には長女の靴が。長女いわく、カラオケに行く予定が休業中だったので2駅先の友人宅で遊んでいたとのこと。

 後日、Aさんは「離婚して僕が育てます!」と凄い剣幕で相談しに来ました。そこで筆者が「家出は今回が初めて?」と質問すると、答えられませんでした。Aさんが妻に聞くと、長女が遅い時間に帰宅するのは今回で6度目。しかも毎月3000円のおこづかいでは足りず、妻の財布から現金やクレジットカードを抜き取ったことも発覚しました。不安になったAさんが自分の財布を確かめると、なんと交通系ICカードが抜かれていたのです。

 自粛生活が始まる昨年3月までは、Aさんが会社から帰宅するのは早くとも22時で、長女の生活の乱れを知らなかったのです。さすがのAさんも家庭を省みない働き方をしていた自分を反省して謝罪し、これからは妻の話を聞くと約束したようです。

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写真はイメージです ©iStock.com

「やる気あんの? 馬鹿と一緒にされていいの?」

 2人目の相談者・Bさん(46歳)も、「まさか妻が息子に手を上げるなんて」とショックを隠せずにいました。Bさんは仕事が忙しく、子育ては教育熱心な専業主婦の妻(44歳)に任せきりでした。しかしその妻が大学受験を控える17歳の長男に暴力を振るうのを見て、離婚を視野に入れて相談にやってきました。

 妻は最終学歴が高校卒で学歴コンプレックスを抱えており、その反動で長男を一流大学へ進学させようと躍起になって応援を続けていました。その甲斐あって長男もとある国立大を目指して勉強を進めていたのですが、緊急事態宣言で高校や予備校の自習室が利用禁止になり、妻の監視下で慣れないリモート授業を受ける生活になったのが問題の始まりでした。

 環境の変化で調子が狂ったのか、5月の模試で志望校はE判定(合格可能性20%以下)でした。その結果を見た妻が激怒して部屋に乗り込み、「やる気あんの? 馬鹿と一緒にされていいの?」と長男を罵倒。長男が「勉強するから」と追い払おうとしても「ママに恥をかかせないでよ!」と追撃。そして黙ったままの長男の頬を平手打ちして、部屋から立ち去ったのです。