いよいよNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が最終回を迎え、「青天を衝け」へとバトンを渡す。文春オンラインでは「〈アンケート〉あなたが選ぶ『大河ドラマ』ベスト1は?」を実施。20代~90代までの幅広い世代から投票が集まった。この結果についてフリーライターの木俣冬さんが、ベスト5にランクインした人気大河ドラマに1つは当てはまる「4つのキーワード」と次作以降の展望について綴る。
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キーワードは【戦国・幕末・三谷幸喜・堺雅人】
「真田丸」(2016年)、「龍馬伝」(2010年)、「篤姫」(2008年)、「新選組!」(2004年)、「麒麟がくる」(2020年)
これは、2020年の秋に文春オンラインのメルマガ読者を対象に行った「あなたが選ぶ『大河ドラマ』ベスト1は?」のアンケート結果、上位5位タイトルである。
ここから浮かぶキーワードは【戦国】【幕末】【三谷幸喜】【堺雅人】。「真田丸」「麒麟がくる」が【戦国】もの。「龍馬伝」「篤姫」「新選組!」が【幕末】もの。「真田丸」と「新選組!」が【三谷幸喜】作品。「真田丸」と「篤姫」「新選組!」が【堺雅人】出演作である。
「大河ドラマ」59作中(「麒麟がくる」まで)、戦国時代を舞台にした作品は20作を超え(厳密に戦国時代だけでなく跨いでいるものも数えた場合)、幕末ものは「青天を衝け」を入れると15作、半数以上が戦国と幕末ものが占めている。
三谷幸喜の「真田丸」が注目された理由
戦国ものの人気の理由は、信長、秀吉、家康……三英傑をはじめとして個性豊かな武将たちが日本各地に存在し、それがいまは地元のヒーローとなり、視聴者の思いを仮託しやすいこと。複雑な政治問題を抜きにしても、てっぺんを奪い合うシンプルなバトルものとして、汎用性が高いことがある。
「真田丸」は架空の物語「真田十勇士」で馴染み深い真田幸村こと信繁(堺雅人)が主役。最大の合戦・大坂の陣をクライマックスに据え、信繁の青春期からはじまる。ただ信繁は大坂の陣まではあまり活躍しない。天下分け目の関ヶ原の合戦で敗れ、九度山に幽閉された後、長く土に潜っていた蝉が成虫となってわずか7日間ほど生を謳歌するごとく激しく鳴くように命燃やす物語を三谷幸喜がユーモアも交えながら描いた。大河ドラマ及び歴史もので人気の場面・本能寺の変や関ヶ原の合戦をナレーションのみや超高速で描き、代わりに、これまであまり描かれたことのない天正壬午の乱を描いたことで、歴史好きにも喜ばれた。おなじみの幸村でなく信繁の名を使ったことも注目された。