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「篤姫」の視聴率24.5% 2000年代でいまだに1位の理由

「篤姫」は政治や戦よりも、夫婦の会話場面が人気という、大河というより朝ドラのような、ホームドラマのような風情があった。もっとも、それまでも「おんな太閤記」(1981年)、「いのち」(1986年)、「春日局」(1989年)、「利家とまつ」(2002年)など女性がメインの大河も人気があった。女性が主人公の大河は男性視聴者に敬遠されがちだが、大河ドラマは日曜の夜に家族で見るドラマでもある。女性が見ることでさらに盛り上がる。「篤姫」は浮動票である女性人気を大量に取り込んで期間平均視聴率24.5%は2000年代ではいまだに1位である。また、歴史好きの視聴者には、これまであまり描かれてこなかった小松帯刀(瑛太 現:永山瑛太)を描いたことが評価された。

宮﨑あおい ©getty

 堺雅人は「新選組!」でも人気で、彼が演じた組の幹部でありながら袂を分かつことになる山南敬助の最期は視聴者を沸かせた。「真田丸」「篤姫」「新選組!」と、戦国、幕末、三谷幸喜作品にまんべんなく出演している堺雅人。持ち前の知性から生まれる明晰さ、舞台で鍛えた身体能力、そのうえ愛嬌も併せ持った堺は、こうして見ると、昨今の大河ドラマに不可欠かもしれない。

「龍馬伝」人気を支えた“大河ドラマ伝統の手法”

「新選組!」と並ぶ「幕末もの」の「龍馬伝」。幕末ものは人気がないとも言われるが、志半ばで悲劇的な運命をたどる新選組や坂本龍馬など、男性からも女性からも愛される人物たちが多いうえ、江戸から明治へ、武士と刀の時代が終わるという大きな変革期でダイナミズムとロマンにあふれている。人間関係や政治的な部分が複雑で、知識がないと気軽に見ることが難しい分、密度の濃い物語が生まれる可能性が高い。

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福山雅治 ©文藝春秋

「龍馬伝」は福山雅治を龍馬にして、新時代を切り開く者の姿を、経済人・岩崎弥太郎(香川照之)の目を通して描くことでバランスをとった。有名な人物の行動をもうひとりの人物の視点から描く方法は、大河ドラマの第1作「花の生涯」からの伝統ともいえる。大老・井伊直弼(尾上松緑)とその懐刀の長野主膳(佐田啓二)の関係性で描き、第2作「赤穂浪士」では主人公の大石内蔵助(長谷川一夫)たちの物語を庶民目線として見るために浪人・堀田隼人(林与一)が配された。