歪んだ欲望を持つ者同士の交流
コミュ内では、北は東北(旧満洲)から南は海南島まで中国全土にあまねく散らばる1000人の変質者たちによって、彼らがバスや地下鉄の車内でおこなった痴漢行為の画像や動画・詳細な体験談などが投稿されていた。コミュ内での会話件数は1日あたり1000件におよび、お互いに情報をシェアして「頂(ディン)」(中国のネット用語で「いいね」の意味)と賞賛し合っていたという。彼らは歪んだ欲望を持つ同好の士を「頂族(ディンズゥ/いいね族)」「頂友(ディンヨウ/いいね友)」などと呼び、仲間意識を育んでいた模様である。
「いま、尻を触っているところ」
同じく中国のニュースサイト『鳳凰資訊』(2017年5月31日付)は、「日本のAVが中国でも流行しているからこういうことが起こる」と一言多い解説をはさみつつも、この手のコミュ内の会話のスクリーンショットを大量に暴露して世間の注意をうながしている。以下、『鳳凰資訊』に掲載された「いいね族」のやりとりを引用しよう。
[北京痴漢]どのくらい触ったんだ?
[天津痴漢]そんなに長い間じゃない。最初はなかなかできなくて、尻を触っただけだ。
[北京痴漢]写真はあるか? どんなズボンを穿いた子だった?
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[不明痴漢]おまえたち、デニムのホットパンツとタイトスカートとゴアードスカートのどれが好き?
[上海痴漢]俺はスキニージーンズかタイトスカートだな。
[深圳痴漢]デニムは尻が見えるといい感じだ。ゴアードスカートは盗撮向き、タイトスカートは触ると気持ちがいい。
*
[大連痴漢]いま、尻を触っているところ。絶対に気付いているだろう、これ。
[南京痴漢]あまり若くないのかな。
『鳳凰資訊』によると、痴漢コミュの参加者には自身の体験を語ったり互いにはやし立てたりするのみならず、よく撮れた画像や動画などの「戦果」を他のメンバーに有料で販売する商魂たくましい者もいたという。なんとも恐るべきコミュニティだ。
この痴漢コミュは2017年7月なかばに各メディアで大々的に報じられて社会問題化。同月17日に運営元のテンセント社が44グループもの怪しげなQQ群を閉鎖させたほか、大手IT企業の百度(バイドゥ)が運営する大規模掲示板『百度貼(バイドゥティエバー)』の「公車頂族(公共交通いいね族)」コミュも閉鎖となった。だが、どうやら中国全土の変質者たちは隠語を駆使して新たなコミュを作り続けているらしく、2018年8月にもメンバー数400人以上の痴漢コミュの存在が発覚。運営元とのいたちごっこが続いている。