「援交」少年とショタコンおじさんコミュ
QQ群にまつわる危ない話は他にもある。たとえばウェブニュースサイト『看看新聞』(2017年7月22日付)には、QQ上で発見された未成年の援助交際希望者と大人の小児性愛者の交流コミュについての暴露記事が掲載されていた。
同紙の記者が潜入したある交流コミュは、メンバーの半分を占める援助交際希望者については未成年の登録しか許可されておらず、なかには11~12歳の児童すら含まれていた。いっぽう、残り半分は成人男性であり、コミュ内では「大叔(ダーシュー/おじさん)」と呼ばれていた。
同紙は他にも、援助交際を希望する少年と、小児性愛嗜好を持つ同性愛者との出会いコミュの様子についても記す。たとえば「上海青浦正太(シャンハイチンプゥヂェンタイ/上海青浦区ショタ)」コミュでは、報酬と引き換えに14歳以下の少年と遊びたいと書き込んでいる中年男性が発見された。また「正太基友們(ヂェンタイジーヨウメン/ショタとゲイたち)」コミュでは、自称15歳の男の子が、20元(約320円)で裸でライブチャットに付き合う、30元もらえればチャットカメラの前で何でもしてあげる……といった書き込みをおこなっていた(*)。
*少年に性的関心を向ける心理を、日本のサブカルチャー用語では「ショタコン」(ショタ)と呼ぶが、中国でもこの単語がそのまま輸入された「正太」という表記がマニアの間で用いられている。
さらに同紙によると、別のQQ群では、成人5人と少年3人が同じ場所で一斉に自慰行為をおこなう様子がライブ動画で配信されていた。やがて、記者がコミュ内にいる少年にチャットで取材を試みたところ、少なくとも一部の少年は小遣い稼ぎを目的に自発的にコミュに参加していることが確認された。仲介業者などもおらず、少年の個人営業だったという。
監視社会でも抑えられない人間の業
言うまでもなく、中国では児童へのわいせつ行為はもちろん、(成人を含めた)ポルノ画像や動画の頒布もすべて違法だ。しかし、QQ群はクローズドな空間であるだけに無法地帯になりやすいのである。
中国のウェブサービスの利用者アカウントは、個人の身分証(IDカード)や携帯電話番号と紐づけされており、また微信やQQの通信内容は当局に提供されているとみられているので、ネット上で「おいた」をするコストはかなり大きい。だが、監視社会であっても人間の業は抑えられないのか、リスクを考えずに欲望にストレートに突っ走る人が後を絶たないようだ。
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※本記事の著者の安田氏の新著、有名女優チャン・ツィイーの枕営業疑惑から中国大陸のキリスト教弾圧まで切り込む『現代中国の秘密結社』(中公新書ラクレ)は現在発売中、群馬県のベトナム人豚窃盗問題と技能実習生問題の真の闇を暴く『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』(KADOKAWA)は2021年3月2日刊行予定です。
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