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スポーツの本質的な価値とは

 現在にふさわしいスポーツの本質的価値を、「3 WAY RELATIONSHIP」という言葉で表現したい。

現在にふさわしいスポーツの本質的価値 ©光文社

 人と人をつなぐ――。

 音楽も同じ力を持つ。一緒に歌うと心が通う。宗教は連帯感を高める。共通の趣味としてのゲーム、映画、読書なども人と人をつなぐが、そのなかでもスポーツはもっともシンプルだ。

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 組織と組織をつなぐ――。

 いくつかのプロリーグやチームでは、スポンサー同士の交流会を開催している。スポンサー同士の相互理解と連帯感を高め、親睦と交流をはかりながら、それぞれの事業の広がりを目的としたもの……こうやって書くと堅苦しくなってしまうが、スポーツには清潔感があるので、企業も集まりやすいのだ。

 社会と個人をつなぐ――。

 Bリーグは「B.LEAGUE Hope」と称して、ステークホルダーとともにさまざまな社会的責任活動を推進している。自分たちでもできるSDGsを進めていこうという考えで、「プラネット」「ピース」「ピープル」の3つの領域で活動している。プラネットは地球環境や循環型社会を、ピースは平和や防災を、ピープルはダイバーシティ&インクルージョン、健康、働きかたなどを、それぞれ活動のテーマとしている。

NBAの取り組み

 NBAには「NBAケアーズ」がある。2005年に立ち上げられた社会貢献プログラムで、リーグ、チーム、選手が三位一体となってドネーションを集め、奉仕活動を行なってきた。

©iStock.com

 BリーグスタッフがNBAオールスターの視察に行った際には、ステフィン・カリーが「NBAケアーズ」に参加していた。

 アメリカのスポーツ専門チャンネル『ESPN』が発表する世界でもっとも有名なアスリート「ワールド・フェイム100」の2019年版で、現在33歳のカリーは9位にランクされている。NBAの選手では2位のレブロン・ジェームスに次ぐ。そんな世界的スーパースターの彼が、雨が打ちつける屋外で子どもたちと遊具を作ったり、遊んだりしていた。数分間のデモンストレーションではない。恵まれない子どもたちのために、雨合羽を着て活動していた。

 カリーらのNBAプレーヤーには、社会問題の解決にスポーツが役立つという自覚があるのだろう。自分たちの発信力をSNSでの交流に生かすだけでなく、社会を変える力にしたいと考えているのだ。