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6割超が「オンライン継続を」

 オンライン授業の「満足度」調査とは別個に、東大UmeeTの武居さんは所属するゼミの学生を対象に、オンライン授業の望ましい「授業形態」についてもアンケートを取っている。すなわち、▽「ライブ授業」(=同時双方向型)▽「録画配信型」(=オンデマンド配信型)▽「資料配布型」(=課題提出型)のいずれがいいか、である。それをまとめたものが、先述したNIIシンポジウムで発表されているので、併せて見ていこう。結果は以下の通りだ。

東大UmeeTによるオンライン授業の望ましい「授業形態」アンケート結果  ©大空出版

 同時双方向型のオンライン授業が圧倒的な支持を受けている。その理由として挙げられるのは、▽質問しやすい▽ほかの人の質問も見られる▽教員との知的交流が可能▽いい意味での緊張感がある、集中できる▽(リアルタイムで視聴するので)生活リズムが崩れない―などだ。その一方、「自分のペースでの学習は難しい」という声もあったという。

 割合は少ないが、オンデマンド配信型を支持する学生が挙げる理由にも説得力がある。いわく、▽通信状況が悪い人でも不利をかぶりづらい▽再生速度を変えられるから(学習の)効率がいい▽聞き逃したところを聞ける▽自分のスケジュールに合わせて見る方が集中できる―といった具合だ。逆に弱点としては「どうせ(配信録画を)ためてしまって見ない」という声が多かった。

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 東大のみならず、おしなべて学生に評判が悪いのが、資料をオンラインで配布して個人学習をさせる課題提出型だ。東大UmeeTの調査では「大学に在学する意味は?」とか「図書館も使えないので自主学習が難しい」という意見が上がっている。しかし、一方で「時限に縛られず、個々のペースで学習できる」として評価する声もあった。

©iStock.com

 さらに武居さんは、コロナ危機が収まった後のことについても、学生の意見を集めている。講義形式の授業に関して、「オンライン授業を継続してほしい?」という問いに対する回答を見ると、6割を超える学生が、従来の対面授業が全面的に再開可能になってからも、オンライン授業を続けてほしいと考えている。その理由として挙げられるのが、▽移動が不要で効率がいい▽質問しやすい▽自分に合った環境で受けられる―といった内容だ。特に「移動」という時間的、空間的制約が取り払われることを歓迎する声が多いという。

東大UmeeTによる「オンライン授業を継続してほしい?」というアンケート結果(小数点第2位以下を切り捨てているため100%にならない)  ©大空出版

 オンライン授業の「スタンダード化」については、先に紹介した東大UmeeTとしての意識調査に対しても「自由記述」として多く寄せられていた。記事に取り上げられた意見をいくつか挙げておこう。

 ▽大人数が聴講する授業は全面的にオンラインに移行した方が絶対にいいと思う。少人数で密に行うものは対面の方が効果が高いだろうが、マス授業は対面で受けると集中力も途切れがちだし、物理的に見えづらい、聞こえづらいという問題がある

 ▽コロナ収束後も(オンライン授業を)オプションとして提供してほしい

 ▽学生の学びの機会が以前より広がるのではないかと思う