日本の教育が変わるチャンス
ところで、調査を行った武居さん自身は、結果をどう見ているのだろうか。本人のオンライン授業への評価や問題意識も含めて、改めて聞いてみた。
――オンライン授業への満足度がかなり高いという結果が出ましたね。
「学期が始まる前は、面白くなさそうだとか否定的な空気だったので、75%が満足しているというのは、正直『多いな』と思いました」
――調査は4月に行われましたが、その後、何か変わったところはありますか。
「最初の頃は通学しなくていい気楽さもあって、オンラインが評価されていたと思いますが、学期が進むにつれて『人恋しさ』や『寂しさ』が出てきて、少し満足度も落ちていった感じがします。オンライン授業自体に不満足だというより、単純に『人に会いたいな』という気持ちではないでしょうか」
――特に前期は東大に限らず、全面オンライン化でキャンパスに通えず、ストレスをためる学生は多かったようですね。
「1年生の不安は大きかったと思います。『情報が取れていない気がする』と言った人がいました。オンライン授業の情報がワンストップですべてわかる学内サイトがあり、それを見ていれば漏れはないはずですが、自分の知らないところで何か動いているのではないかと思ってしまうらしいです。確かにリアルで大学に通えている時なら、上クラス(2年生)から『楽に単位が取れる科目』などを耳打ちしてもらえたりするので、そういう情報からは遠くにあるといえますね」
――ライブ授業(同時双方向型のオンライン授業)の支持率が70%を超えています。
「録画(オンデマンド配信型)の方がいいという人がもっといるかと思っていたので、ライブ授業が意外と多かったという印象です。普通の授業に近いものを受けているという満足感があるのではないでしょうか」
大学の授業へのあこがれ
――対面授業に近いものとして、ライブ授業が評価されているのでしょうか。
「1年生は対面のよさを求めており、大学の授業へのあこがれがあるので、ライブ授業に高い評価が出ます。対面のよさは人と人とのつながりにあると思いますが、ではそれが一番かといえば微妙なところです。大教室で授業をすると黒板が見えないとか、周りの声がうるさいとか、いろんな問題もあって、『オンラインの方がいい』という人もいます」