――それはどういう感じですか?
鳥居 自分が自分を追い越していく感じですね。自分がしゃべりたいことがあるとして、でもまた違う「これもしゃべりたい」が出てきて。もうどんどんどんどん追い越していっちゃうので、「待って待って」といってたどり着くという感じです。たどり着かないで終わることもあるんですけど。そうすると、変なやつだなで終わっちゃう(笑)。
――聞かれたことと全然違うことを言ってるみたいな。
鳥居 そうそう。自分の中のゴールはあるんだけど、ゴールまでちゃんとしゃべらせてくれなかったり、自分がまとまらないとそうなっちゃう。私自身の向こう側にいくんですよ。
――最近あまりテレビに出ないのも、そういう部分が満たされないからでしょうか。
鳥居 うーん……でもね、結局はすごく人に合わせてみんな生きてるなっていうことです。私もそうだし。でもあまのじゃくだから「あっこういう答えを期待されてるな」と思ったら言いたくないんですよね、ほんとはね。
「笑いって関係性なんだ」と気づき、「話し方講座」へ
――芸人になりたいと思ったきっかけが「友だちを作ろうと思った」と過去のインタビューでお話しされていますよね。小さい頃友だちからお菓子をもらって、他の子が「マズッ」ってやったらウケたのに、自分がやってもウケなかった、「笑いって関係性なんだ」と気づいたと……。
鳥居 そうそうそう。それなんで知ってるの? 私のこと(笑)。メロンのお饅頭みたいなねーこれが正直おいしくなくて、周りが「なにこれー」って言ったら「そんなこと言わないでよー」みたいになってたから、私も「まずいね」って言ったの。そしたらほんとシーンとして。
――切ない……。
鳥居 でも「受け手のミスは言い手のミス」じゃないですか。これ石田純一さんが昔言ってた気がして。「不倫は文化だ」の時代に。
――(笑)
鳥居 あぁ私がいけないんだと思って、それで私は自分を変えようと思ったんですね。どんなに面白いことをしゃべっても、受け手によっては伝わらないこともあるんだと。それまで孤独が好きで嫌な人って思われていたので、だからそれを変えたいなと。もっと明るい人間でいよう、それでこんな色んな事を考えてるんだよっていうのを、出したい、表現したいって思って。
――芸人の道を選んだ。
鳥居 いや、まず「話し方講座」に行きました。赤羽だったか、大宮だったか、いつも電車から見える看板のところ。それに行ったら、なぜかファンデーションの営業トークを学ばされて。それでファンデーションを売る力が今すごいあるんですよ。
――ファンデーションを売る力(笑)。
鳥居 求めているのそれじゃなかったのに。でももういいやと思って、ほんとは人としゃべりたかったんですけど、もうひとりでいい、孤独を孤高と言おうと思いました。
――「孤独を孤高という」、いいですね。
鳥居 自分の中でそう言い換えて自分をなだめてたんですよね。