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地面に突き刺さったクサビ状のコンクリート、曲面だらけのホテル…異様な存在感ほとばしる“ナゾの建物”

日本の不思議な建物 #1

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異星感を漂わせる床と柱のピラミッド

明治百年記念展望塔

■明治百年記念展望塔
設計:池原謙一郎
竣工:1971年
住所:千葉県富津市富津2280

 東京湾に突き出た千葉県・富津岬の、最先端にある展望塔。名前のとおり、明治100年を記念してつくられた建造物で、年数は経っているが斬新に感じられる。

 全体がピラミッドのように見えるその形は、五葉松がモチーフという。どの角度から見ると最も美しいかを、自分の目で確かめてみよう。

南側。パレットは、縁に向かうにつれて微妙に薄くなっている

 1本の柱が1枚のパレットのような床を支え、柱同士が梁でつながれて組まれた構築物は、最高高さ21.8m。頂上に向かって、意気揚々と人々がパレットに架けられた階段を登っていく様子が見える。登るにしたがって開ける視界。頂部の柱は海側に張り出し、眺望を遮るものがなくなる。

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 綿密に計算されたシークエンスに、景観と展望の融合にかけた設計者の熱意が伝わってくる。