「お金返して!」と言わずにお金を回収するテクニック
貸した相手に面と向かって「あのお金、返してよ!」と言うのは誰だって気が引けるもの。でも督促の仕事でなくても、社会人なら時に相手にお金の催促もするし、仕事の締め切りを守るように言わなきゃいけない時もある。
「払えるんだったら、とっとと払ってるんだよ!」
「も、申し訳ございません!」
ある日のこと、督促をしていた私は、今日も下手な言い回しでお客さまを怒らせてしまった。
電話に出てくれたお客さまにストレートに「ご入金の確認が取れていないのですが……」と切りだしたところ、相手は急に怒り出してしまった。私のストレートな物言いは相手のプライドを傷つけてしまったらしい。
うーん……、どうしたら相手を怒らせず、気まずい雰囲気にならずにお金を返してほしいって言えるのかなぁ、そんなことを考えていたある日のこと、私はたまたま読んでいた論理学の本にこんな一文を見つけた。
「人間の脳は疑問を投げかけられると、無意識にその回答を考えはじめる」
これだ! 「お金を返してください」とこちらの要求を押しつけても、相手の反発や怒りを誘う。だったら「入金できる日はいつ?」という質問を投げかけて、脳に回答を考えてもらうようにすれば、罵倒されずにすむかもしれない!
「お客さま、いつでしたらご入金いただくことが可能でしょうか?」
督促をする時にこうして質問形式にして切りだすと、相手の脳は「えっと……○月○日に給料が出るから、その翌日だったら大丈夫かな」と考え出す。そして、
「×月△日だったら払えると思うけど……」
と答えてくれる。日にちを聞きだしてしまえば、後はこちらのものだ。
「それでは来週の木曜日にご入金お待ちしています!」と念を押して自動的に入金の約束を取り付けてしまえばいい。「お金を返してほしい」とストレートに聞くのは角が立つけど「いつだったら大丈夫ですか?」と日にちを聞けば相手に嫌な思いをさせずにお金を回収することができる。