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待望の『スプラトゥーン』新作情報…「文脈」と「タメ」を活かした任天堂の“巧み過ぎる発表術”とは

2021/02/24
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 前作はゲームバランスとしてかなり厳しい部分があったのだが、『スプラトゥーン2』はよりマイルドにうまく調整されたし、前述のように人気もさらに獲得できた。だが、対戦ゲームは常にプレイヤーが不満を持ち続けるジャンルである。本作は「新規性がなく、バランス調整の結果として地味な見栄えになる」という意見があったし、同じものが続くというマンネリ感も否定できなかった。

『スプラトゥーン2』(2017年)では、追加コンテンツでタコ(正式名称:オクタリアン)がプレイヤーキャラクターとして登場。タコは前作では敵だったものの、うまくストーリーに組み込まれ融和を果たす。 画像は任天堂 公式サイトより

 とはいえ、それでも『スプラトゥーン2』は人々を楽しませている見事な作品だ。だからこそ続編が望まれており、Nintendo Direct放送前にも『スプラトゥーン3』というワードがツイッターのトレンド入りを果たしていた。

 しかし一方で、「実際に出たとしたら『スプラトゥーン3』はどうなるのか?」とユーザーも疑問に思っていた。かつてはシューターが日本で流行らなかったが、いまは『フォートナイト』などのバトルロワイヤルものが国内でも馴染んでおり環境も変化した。しかも『スプラトゥーン2』にはマンネリ感もある。つまり、『スプラトゥーン3』が出るならば大きく変わらねばならないが、どうなるか遊んでいる側は想像がつかないのである。

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 ゆえに、ユーザーは『スプラトゥーン3』を望んでいるものの、いつ出るのかについてはまったく予想ができていなかった。そもそも『スプラトゥーン3』の情報は噂レベルですらまったく存在しておらず、「さらに数年後、次のゲーム機になってから出るのでは」と予想していた人も少なくない。

文脈とタメを活かした『スプラトゥーン3』発表の妙

 にも拘わらず、2021年2月18日のNintendo Directでは『スプラトゥーン3』がサプライズで発表された。リークされなかったことでファンの驚きは最大限になったし、『スプラトゥーン2』で人気が過熱していたおかげで盛り上がりもかなりのものに。さらに、今回の発表映像もよくできていた。

 Nintendo Directの映像では、タイトルを発表する前にちょっとした溜めがある。たとえば『スプラトゥーン3』の場合、いきなりタイトルを出すのではなく砂漠の岩場のような映像を映すのだ。