日本で浸透してこなかったゲームジャンルを根付かせた
それにも拘らず、任天堂が『スプラトゥーン』というシューターを作り、それを日本国内でヒットさせたのである。全世界での販売本数は495万本を記録しており、Wii Uのタイトルとしては売り上げ6位に位置している。Wii U本体が1356万台しか売れていないことを考えると、かなりの人気といえるだろう。
『スプラトゥーン』ではインクが出る水鉄砲で戦うだとか、ジャイロ操作(コントローラーそのものを動かして操作する方法)で直感的にプレイできるなど、日本に馴染んだ理由はいくつかあるのだが、今回注目したいのはPVの魅力である。
本作は2014年の「E3」というイベントで発表され、その特異なPVで人々の目を引いた。いきなりインクが塗られ、その中を泳ぐイカのような不思議な生物が出てくる。まったく知らない新しいゲームであると視聴者が驚いているところに、ゲームの詳細がわかるプレイ映像を流し「任天堂が対戦シューターを作る」と伝わる意外さを組み込んでいるのである。
ゲームのPV制作は外注されることも多いようだが、『スプラトゥーン』初公開時の映像は任天堂の天野裕介氏が監督を務めている。つまり、“作品の魅力をうまく伝える”部分も重要視しているわけだ。
Switchの勢いもあり人気が上昇した『スプラトゥーン2』には課題も……
約2年後の2017年7月には、Nintendo Switchで『スプラトゥーン2』が発売された。前作の基本を継承しつつ、対戦以外のモードなど新たな要素を付け加え、ゲームバランスの調整が行われている。
Wii Uと異なりNintendo Switchは人気が出たため、『スプラトゥーン2』はかなりのヒット作となった。本作からはじめて遊ぶという人も増えたし、発売から3年以上経った現在も売れているほどで、全世界での累計販売本数は1190万本となっている。