任天堂は、自社のゲーム機で展開するゲームソフトに関する情報を「Nintendo Direct」というWeb番組で発表している。この番組が公開されるとツイッターのようなSNSは特に盛り上がり、トレンドは発表されたゲームソフトの名前や関連情報で埋め尽くされるほどだ。

 2021年2月18日に実施されたNintendo Directも盛り上がったのだが、そのなかでも特に話題を呼んだのが『スプラトゥーン3』である。番組の最後にサプライズとして仕込まれていたこともあり、発売が決まって短い映像が公開されただけなのに、任天堂公式ツイッターの該当ツイートは9万RTされている。

 発表会そのものがファンの心を揺さぶるというのはほかでもありうることだし、ゲーム業界でも同様の例を見る。とはいえ任天堂はゲームを作るのもうまければ、発表するのもうまい。『スプラトゥーン3』でどのように人々の心を掴んだのか、シリーズを振り返りつつ分析していこう。

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対戦シューターを日本で流行らせた初代『スプラトゥーン』

 2015年5月にWii Uで発売された『スプラトゥーン』は、イカ(正式名称:インクリング)たちがインクを塗り合って4対4で戦う対戦ゲームである。公称では対戦アクションゲームというジャンルになっているが、いわゆる対戦シューター(銃で撃ち合い戦うゲーム)だ。

『スプラトゥーン』(2015年) 画像は任天堂 公式サイトより

 シューターは北米などで特に人気の高いジャンルなのだが、日本ではそれまであまり定着しないジャンルだった。もちろん海外の作品が国内向けにも販売されたり、国内でこのジャンルに挑戦するメーカーもあった。とはいえ大人気とはいかず、マイナーと言うほどではないがやはり一部の人が好むゲームであったといえるだろう。