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「一人暮らしの家でガリガリに」「鬱でSNSをアラビア文字に…」 現役大学生が綴るコロナ禍1年間の現実

2021/02/27
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「コロナ禍でも、彼氏のまわりには少しずつ将来に向けての勉強を始めたり、行動し始めたりする人が出てきたみたいで。彼氏も、自分もなにかやらなくちゃっていう焦りから、前から目標だった海外の大学に編入するために英語の勉強を始めてたんだよね。その勉強の記録とかをTwitterに綴ってたら、DMでそのマルチの勧誘が来たんだって。彼氏は怪しいとはあんまり思わず、むしろコロナで何もできてなかった自分をまるで肯定してくれたみたいに感じたらしくて、そこからはもうどっぷり浸かっていった。しかもマルチ仲間と過ごす時間が相当楽しかったみたいで、私との時間は無駄だみたいなことまで言いはじめたの……」

 マルチ商法にハマっていったその彼氏は、外出自粛して家にこもっているような人たちのことを「何もしていない人間」と侮蔑し始め、ついには彼女のことも見下すようになったのだという。最終的にはその彼氏は大学を退学し、家出をして姿をくらませ、連絡も取れないそうだ。

©iStock.com

若者というだけで、ひとくくりにしないで

 他にも、浪人を経て筆者と同じ大学に合格した地元の友人は、昨年4月から楽しいキャンパスライフを送るはずだった。けれど、オンライン授業ばかりで大学に通えず、サークルにも入れず、友達が1人もできなかったというケースもある。「1年間を棒に振ったよ」とぶつけようのない怒りと不安を抱えたまま、今年4月から進級して大学2年生になろうとしている。

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 これらのエピソードを読んで、どのように感じただろうか。

 コロナの影響で休学を決めた者、マルチにハマって行方不明になった者、浪人してまで入った大学に一度も通えていない者――他にもたくさんの苦悩を抱えている大学生がいる。

 確かに、ごく一部の若者は緊急事態宣言下であっても、外出して遊びまわっているのかもしれない。しかし、若者というだけでひとくくりにはしないでほしい。そして、若者にも切実な苦悩があると知っていただけると嬉しい。

(文=海老エリカ〈A4studio〉)

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