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日本のスマホゲー“ガチャ”全盛時代がついに終わる? 新しい流れを象徴する3タイトルとその理由

2021/03/09
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 昨年から続くコロナ禍の中で、モバイル、ゲーム機、PCと全てのジャンルでコンピュータゲーム市場は大幅に伸びた。スマホアプリの市場調査に強い「App Annie」が発表した『モバイル市場年鑑2021』には、自粛生活を強いられた人々がスマホでゲームに没頭していた数字が如実に現れている。

写真はイメージです ©️iStock.com

 2020年のグローバルでのモバイルアプリダウンロード数は約2180億件、売り上げは約1430億ドル。この売り上げは2019年に比べて約20%増えており、本来ならば2024年頃に到達すると予測されていた数字だ。コロナ禍によって、エンタメがスマホに集約されていく速度が急激に上がったことがわかる。

 日本でもスマホユーザーの1日の平均利用時間は3.7時間を超え、こちらも前年から20%増加した。日本は高齢者を中心に地上波テレビの時間占有率が高いが、スマホがテレビを抜くのは時間の問題だろう。アメリカでは、すでにスマホの利用時間はテレビを抜いている。

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 スマホの利用時間を押し上げている大きな要因が「ゲーム」だ。

写真はイメージです ©️iStock.com

広告媒体としてのゲーム

 とりわけ、ハイパーカジュアルというゲーム分野の伸びが「App Annie」では指摘されている。これは手軽に始めて短時間で終わるゲームで、しかも中毒性が高い。ルールがシンプルで覚えることが少ないだけではなく、ゲーム自体の価値と同じくらい広告価値を優先した作りが特徴だ。

 キャッチーなタイトルやテーマを設定し、SNSなどに広告を打ってインストールを促す。例えば日本のあるデベロッパーが開発した『彼氏が浮気してるっぽい』というゲームは、世界中で共通するテーマ設定によって世界的にヒットした。

『彼氏が浮気してるかも』 App Storeより

 多くのハイパーカジュアルゲームは無料だが、ゲーム内で他のゲームの広告を表示して収益を得る。ゲーム自身で収益を得るのではなく、“いかに興味を惹くか”に特化したゲームを開発して広告価値を上げることで収益を得るという、コンテンツが消費されるサイクルが極めて短いジャンルだ。

 ユーザーはゲーム内で多数表示される広告を見るか、広告を消すために課金するかの二択を迫られることになる。

「車を駐車させる」「蛇を操ってブロックを壊す」などゲーム自体は極めてシンプルなので、中毒性は高いが飽きるのも早く、トレンドの入れ替わりも激しい。このためハイパーカジュアルジャンルでは、『パズドラ』などのように特定のヒット作がロングランになってランキング上位の常連になることはほぼない。

『Snake VS Block』Google Playより

 ハイパーカジュアルの成長は、これまでゲームをしてこなかった利用者層が、自粛生活で余った時間を“たいして気持ちを入れずに遊べる”手軽なゲームに向けたことで一気に加速したと言える。