日本はまだ“ガチャ”が主流だが…
一方、日本では相変わらず『モンスターストライク』や『Fate/Grand Order』、『プロ野球スピリッツA』のような“ガチャ”をシステムの核に据えたゲームが主流で、グローバルのトレンドの影響はまだ到達していない。しかし、そのトレンドにも変化の兆しが見えてきている。
ガラパゴスと揶揄される日本の特殊な流行の理由の1つは、“通勤・通学で電車に乗っている時間が長い”ということだった。
この長い「通勤・通学時間」は、かつては週刊コミック誌の爆発的な売り上げや、『怪盗ロワイヤル』のような非リアルタイムでチームプレイを行う特殊なルールのネットワークゲームを生み出してきた。
海外では、同じ時間に接続して協力・対戦を楽しむネットワークゲームが主流だったが、通勤・通学時間は人によって時間帯も長さもマチマチなので、日本では同時接続ではなくとも遊べるカード型のゲームが増えた。
そうした日本特有のモバイルゲームの系譜の延長上に、現在のガチャシステムもある。
しかし、コロナ禍によって「通勤・通学時間」が減ったことで、今後は日本でもグローバルなトレンドに近づいていく可能性がある。
その兆候が見えるタイトルが、中国の「MiHoYo」が開発した『原神』だ。モバイル、PC、PS4向けに全世界同時リリースされ、モバイルからでも広い仮想世界を動き回ることができる。本格的なロールプレイングゲームなので費やす時間もお金もあるコアゲーマー向けと思われたが、想像以上の速度でファンを増やし、すでに国内の月間売り上げは100億円を超えている。これも家にいる時間が増えたことの影響だろう。
ガラパゴスの終焉は近い?
ハイパーカジュアルゲームの流行と、コアゲーマー層向けタイトルの成長。一見矛盾するように見える2つの現象は、市場の二極化を示している。ダウンロード数のランキングでは上位をハイパーカジュアルゲームが占拠しているが、売り上げベースで見るとプレイ時間が長い熱心なゲームファンが市場全体の66%を占める(『モバイル市場年鑑2021』より)。
近年流行している『FORTNITE』や『荒野行動』などのサバイバルゲームも、1プレイに時間がかかるので外出自粛が追い風になっている。
2021年に入って2度目の緊急事態宣言が出されるなど、「Stay Home」な雰囲気はしばらく変わりそうにない。「通勤・通学時間」に適応した日本的スマホゲームのトレンドが終わりを迎え、新しいトレンドが生まれる可能性もおおいにある。