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2021/03/06

シブがき隊を筆頭にユニークなネーミングを施されたグループ

 もうひとつ。ジャニー喜多川にあって他にはない才能というのなら、言語感覚である。その片鱗は、既に70年代にも窺えたにせよ、勢いのついたのは『たのきんトリオ』の名が市民権を得てからだったのではないか? 以来、シブがき隊を筆頭に、デビューのグループはことごとくユニークなネーミングを施され、そしてそれはそれぞれのイメージ戦略に大いに寄与した。

 ジャニーさんのそうした独特なコトバ選びの感覚は、日系人としてアメリカで生まれ育った環境ともどこか関係している気もするが、そのようなことも含め、どなたかジャニーさんの一生を——評伝ではなく——小説にしてくれれば、貴重な日米文化論、戦後史として、ベストセラー間違いなしということになるであろう。書き手は本来なら藤島泰輔こそが適任であったとも思うのだが、叶わぬ今となっては、是非とも石原慎太郎元都知事閣下のお出ましを願いたいところではある。これは出したら絶対売れますよ!

 おっと話がそれてきた。

 なかなか本題に入れず申し訳ない。前置きはこのぐらいにして、そろそろジャニーさんのベストを選ばねば……。

ソロなら郷ひろみ、ではグループは?

 ソロなら、それは何といっても郷ひろみに尽きる。ではグループは? これがなかなか難しいところだが、奇をてらわず選ぶとするとSMAPということになろうか。

SMAP「がんばりましょう」

 なのだけれど10曲全部この2組からというと、そこは無理がある。曲の良し悪しは、また基準が違うからで、うーむ……迷うね。てか、こればっかりは好き嫌いで決めるしかないことなのかも。私の場合、バラードやフォーク調の楽曲よりはビートのあるものの方が好みという、それと順不同もお許しいただくとして、郷ひろみならば、『花とみつばち』。SMAPでは『がんばりましょう』かな。そしてフォーリーブス『ブルドッグ』と、ここまでは快調に飛ばしてきたものの、例えば先にも触れた豊川誕だ。

 イントロの如何にも歌謡ショーといった風情のアレンジについつい心も踊る『星めぐり』に対するは、♪親のない子は焼かないパンを喉に詰まらせ水を飲む というヘヴィなことこの上ない歌詞の『白い面影』とは先にもチラリと触れたところである。どちらに軍配をあげるべきか悩みに悩んだ末、一般性で前者を選んだ。

フォーリーブス「ブルドッグ」

タッキー&翼の『青春アミーゴ』『夢物語』

 ここからは本当に葛藤が続きます。

『青春アミーゴ』は、♪地元じゃ負け知らず という、昭和も30年代の“地回りのあんちゃん”でも登場しそうなアナクロな景色の見える歌詞に、オーセンティックな歌謡ロックのサウンドという作りなのだが、北欧の作曲家のペンゆえなのか一味違う耳触りが、レトロな趣を感じさせながら、未だ新鮮であるのが素晴らしい。

修二と彰「青春アミーゴ」

 それにしてもいまこの歌詞を読むと“半グレ”の台頭を予言していたかとさえ思えるところが面白い。

タッキー&翼「夢物語」

 その修二と彰とはまた違った趣向で、デュオとしての安定した魅力を誇ったのがタッキー&翼だった。この二人の“ハモり”の、本格的な心地よさには、ジャニーズファンならずとも認めざるをえないものがあるだろう。一曲挙げるのなら『夢物語』になるのだろうか。