クセになるKinKi Kids『硝子の少年』
二人組ということなら、何にせよKinKi Kidsを挙げぬ訳にはいくまい。『硝子の少年』を初めて聴いたときの、山下達郎とはとても思えぬほどの一種の田舎臭さ/泥臭さも、今となってはむしろクセになってしまって、もう耳から離れない。ついつい口ずさんでしまう強い曲なのだと思う。
芸人顔負けの逞しさとアイドルの色気を両立した関ジャニ∞
断トツで面白いシングル揃いなのが、関ジャニ∞だ。それこそ関西芸人顔負けの逞しさとアイドルとしての色気の両立という、至難の技を楽勝でこなしてみせる、そのパフォーマーとしての実力もさることながら、おふざけからシリアスなものまで、いずれも密度の濃い仕上がりで、一曲を選ぶのに相当迷ったが、TVで観たときの、安田章大の魂! に打たれた。『友よ』でいかせてもらう。
シブがき隊、少年隊、そして光GENJI、あるいはV6、TOKIOなどにしてもそうだが、それぞれに大ヒット曲/名曲はあるものの、今述べた関ジャニ∞ほどにはアク/クセは乏しい。無難なのである。だからこうして10曲を選ぶとなると困ってしまう。俺のアタマにパッと浮かんでくる作品は意外と少ないのだった。
山下智久の“問題作”『change』
そういった意味で、良くも悪くも記憶の中で埋没することのないのが山下智久である。真心ブラザーズのカバーである『サマーヌード』など、明るい曲調に暗い声質という相性の悪さ? で却って耳に残ってしまったシングルもあるが、何といっても『CHANGE』である。
歌詞を本人が書いているのだが、そこに漂う“絶望感”は他のジャニーズの人気者たちのいる場所にはまず似合わぬシリアスなもので、とにかくジャニーズの音楽表現史上、これ以上の“問題作”はなかったといい切れる。
それで、10曲のなかに入れることとした。
ジャニーさん本当の「ベスト」は……
さぁ、あとは本当の「ベスト」絶対のただ一曲だ。これを選ばねば、私も原稿を終わらす訳にはいくまい。
『恋をあげよう』ではどうか?
単純にこの曲が好きというのが一番の理由なのだが、ただしかし、それだけではない。ジャニー喜多川の歴史を思うとき、小学生の時代からの付き合いの長さ(おそらく今となっては一番古い?)など、その関わり合いの深さには運命さえ感ぜずにいられないのが、永田英二だからだ。
ただ楽曲は『あこがれ』ではない。私の場合、当然アップテンポが好みとなる。
繰り返しになるが、その才能は児童福祉法の煽りを食らい一旦芽を摘まれ、そして再デビューを果たしたとき、既に時代は別の方向を向いていた。結局アイドルとしては中途半端な立ち位置に終始せざるを得ず、楽曲も決して大きなヒットとはなっていない永田英二だが、この『恋をあげよう』の歌い出しのキャッチーなことといったらたまらない。今でもまったく色褪せていない。いや、ホント。宝物を売るタイミングを見誤った。それが本当に勿体無かったなとついつい思ってしまう。
また、鈴木邦彦の作品のなかでは、ゴールデン・カップス等GSに提供したヒット曲とは別の、軽やかな味わいを楽しめる傑作ということもある。いい機会なのでそこにもあらためて触れておきたい。まだ未聴の向きは、是非ともネットで検索を!
以上、極私的な選曲であるが、話のタネにでもしていただければ幸いである。