内緒で借金をする人々
「離婚したらおまえのせいだ!」
督促の仕事をしている中で、お客さまから寄せられるクレームである意味一番深刻なのが、「おまえらが督促をしたせいで家族に借金がバレた! どうしてくれるんだ‼」というものだったりします。
キャッシング専用のカードというのはお客さまからの要望がない限り、クレジットカードのように利用明細を毎月自宅には送りません。
それに今は書類をメールで受け取る設定にできるところも多いので、郵送物がご家族の目に触れることはほとんどないのです。
ただし延滞した場合は別です。
たとえ書類の受け取り方法をメールにしていても、郵送物の受け取りを一切拒否しても、問答無用で督促状は発送されます。
督促状とは「入金がまだなのでお支払いをお願いします!」という文章が書かれた手紙なのですが、私たちは督促の電話と合わせてこの督促状を送ることで、お客さまに延滞のお知らせをしているのです。
「おまえらが送った手紙を嫁に読まれた! もし離婚したら絶対に訴えてやるからな‼」
お客さまにこう怒鳴られると「そ、そんなこと言われてもー!」と思わず頭を抱えたくなってしまいますが、コールセンターにはこの手のクレームの電話が本当にたくさんかかってくるのです。
「家族に内緒」「配偶者に内緒」
実は私もカード会社に入った当初は、家族や配偶者(夫・妻)に内緒で借金をするお客さまが多いことに、かなりショックを受けました。世の中には、こんなにも奥さんや旦那さん、そして家族に内緒で借金をする人がいるのか……。そう思うとなんだか人間不信に陥りそうです。
クレジットカードにはあまりありませんが、キャッシング専用のカードや消費者金融でローンを申し込む際には、申込書に「家族に内緒」や「配偶者に内緒」という項目があります。そしてここにチェックをつけたお客さまに対しては、家族にお金を借りていることがばれないよう最大限に配慮がなされます。
督促の電話をかけるときも、「家族に内緒」「配偶者に内緒」のお客さまの家族には、絶対に会社の名前を名乗ってはいけないことになっています。会社のようなところから電話がかかってきていると思われてもまずいので、個人名でまるで知り合いのように対応したりもします。
ですから、「ちょっと! あんたどこの誰よ! 主人とはどういう関係‼」と奥様に問い詰められても「××カードです! ご主人がお金を返してくれないので入金のお願いの電話をしました!」なんて答えるわけにはいかず、「あ、あの、知り合いで……ちょっとお伺いしたいことがあっただけで……」などと、我ながら怪しすぎるだろ~!と思いながらも言葉を濁して対応をするのでした。