「人見知りで話しベタで気弱」を自認する新卒女性が入社し、配属されたのは信販会社の督促部署! 誰からも望まれない電話をかけ続ける環境は日本一ストレスフルな職場といっても過言ではなかった。多重債務者や支払困難顧客たちの想像を絶する言動の数々とは一体どんなものだったのだろう。
現在もコールセンターで働く榎本まみ氏が著した『督促OL 奮闘日記』から一部を抜粋し、かつての激闘の日々で身につけたお金についての基本的なノウハウを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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ある日の督促電話
「いやーごめん、ごめん。給料は出たんだけど別の支払いに回しちゃってさ~」
「お、お客さま、これで何回目ですか⁉」
ある日督促の電話をかけると、お客さまはまったく悪びれた様子もなくこう言いました。
「もうそろそろ入金していただかないと、ホントにカードが使えなくなっちゃいますし、それにいろいろなデメリットが~!」
これはカード会社によっても違うのですが、私の会社は最初の支払日から1ヶ月以上入金がなかった場合カードは解約になります。するとショッピングにもキャッシングにも使えず、ただ返済のためだけのカードになってしまうのです。
それって本末転倒なのでは……?
このままでは信用情報機関に延滞の記録も残ってしまい、お客さまにとってもよろしくありません。私はなんとか回収できないかと必死にお客さまに訴えかけました。
「あ、じゃあ友達にお金借りて返すから、もうちょっと待っててよ」
「ええっ⁉」
(友達にお金を借りて、借りているお金を返す……?)
お客さまの口から出た、驚きの発言。
「友に金を貸す者は金も友情も失う」
とか。
「友人にお金を貸すときは与えるものとして貸しなさい」
とか。
昔から、そんな格言やことわざは山のように語られてきました。そのくらい、友達同士の借金というものは後々わだかまりを残すもの。
(友達に借りたお金で、カードの延滞を返すって本末転倒なのでは……⁉)
でも、悲しいかな私が督促をしていたお客さまの中では、お友達間でのお金の貸し借りが当たり前の人も多いのです。
お客さまに「○月×日に入金します」と約束をしてもらった場合、私たちはそのお金の根拠を確認します。基本的にはお給料日だったり、何かしら収入のある日だったりするのですが、たまに「友達にお金を借りる」または「友達に貸しているお金が返ってくるから」と申告してくる人もいるのです。