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見栄と恐怖と借金と

 ではなぜ、お客さまは家族や奥様、または旦那様に内緒でお金を借りるのでしょうか? 理由はいろいろあるとは思うのですが、相手に借金がばれたら嫌われる、怒られるんじゃないかという恐怖と、借金をしていることを告白することが恥ずかしいというちょっとした見栄があるからじゃないかな、と私は思っています。

 つき合う相手や結婚相手が「借金のある人なんて絶対に嫌!」という女の子はたくさんいますよね。男性だって借金をしている女の子と進んでつき合いたい、結婚したいと思う人は少ないと思います。

 だからこそ内緒でしていた借金がばれたときに、とんでもない事態に発展してしまうこともあるのですが……。

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 ご夫婦で、お互いにお金を借りていることを内緒にしているケースもありました。「あれ? さっきこの電話番号かけたような~」と思っていると、ご夫婦で仲良く(?)延滞していたなんてことも。

©iStock.com

 でも時々思うんです、お金に困ったときこそ家族や奥さん、旦那さんに悩みを相談できる、そして許し合える関係を作ることこそ、実は大切なんじゃないかって……。

病めるときも貧しきときも

 ある50代の自営業の男性に督促の電話をかけたときのことでした。

「あの~ご入金の確認が取れていないのですが……」

「ああそうなの? ごめんね、ちょっと待ってね、お~い、かあちゃんー!」

(⁉)

 なんとお客さまは電話の向こうで奥様と支払いの相談をはじめてしまいました。「××カードさんの支払い遅れてるって」「そうなの? しょうがないわねぇ。払っとくわよ。でも明後日まで待ってもらって」といった声が漏れ聞こえてきます。

「ごめんごめん、明後日には払えるって言ってるからさ~。待っててよ」

「か、かしこまりました……」

 督促の仕事をしていても、こんな風に借金のことをあけすけに語り合うご夫婦は、なんだかとっても新鮮。お互いに借金を隠し合っている夫婦より、腹を割って借金のことを共有しているご夫婦の方が懐が深いというか、なんかいいなぁ、と思ってしまいました。

 確かに突然借金があると言われると驚いてしまうけど、隠されているよりよほどいいかもしれません。たとえ借金があったとしても、それを隠す人と、詳細をキチンと話してくれる人、あなたはどちらに魅力を感じますか?

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