――それがB1に上がるとがらりと変わる。
山崎 1期目から相当雰囲気が違うと感じましたね。勝負に対して執念が違う、迫力がある。いきなりなんか、一局一局、最初らへんからみんなすごい執念がある感じで。トーナメント戦で相性が良い先生もいたんですが、順位戦で負けたりして、「うわっ」という感じ。
もともとA級におられた先生がいて、昇級したいのももちろんなんですが、このクラスから落ちたくないという気持ちを強く感じました。このクラスから落ちてしまうと一気に落ちてしまうので。B1だと他の棋戦でシードがあるし、棋士としてある程度上位者だと制度上も認められています。このクラスから落ちるとパッと名前が出てくる棋士でなくなってしまうようなプライドも賭けて戦っているという空気があります。
1期でA級に上がると思いますよ
――ちょうど山崎さんが昇級されたのと交代するかのように、来期は藤井聡太二冠がB1に昇級します。さすがの藤井さんも苦戦が予想されますか。
山崎 (即答で)いやしないでしょう(笑)。彼はしないでしょう。B1でちょっとは苦労してほしいけれど、1期でA級に上がると思いますよ。個人的にはなんか2敗くらいはしてほしいなと思いますけれど(笑)。
藤井さんの将棋を見ていて、彼が3年目くらいから、どういう感じになったら勝てるのかというイメージが湧きません。それくらい強くなっています。今恐れているのは、来期に私が落ちて藤井さんが上がると、入れ替わりになって唯一順位戦で当たれない棋士になる可能性があるんですよ。ひどくないですか、それ(笑)。
――藤井さんとやはり対局したい?
山崎 実際に当たったら嫌だなと思いますよ。トーナメント戦で当たりたいとは思わないですけれど、順位戦は総当たり戦なんで(笑)。
――それでは来期、ますますA級での対局が楽しみですね。
山崎 A級に上がった棋士の5、6割は1期で降級してしまうという統計があります。私もA級はほとんど勝ったことがない棋士ばかりです。最初からまた背水の陣という危機感を持てるので、楽しみってことはないですが、勝てたら40になっても強くなれた、ということじゃないですか。