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「頭までタトゥーの仲間が『こんなに『ありがとう』って言われたの初めてかも』って」さだまさしが見た復興支援隊の“ヤンキー魂”《緊急対談》

「頭までタトゥーの仲間が『こんなに『ありがとう』って言われたの初めてかも』って」さだまさしが見た復興支援隊の“ヤンキー魂”《緊急対談》

ヤンキーと震災#3

2021/03/13

大圡 なんて言うか……さださんも地方にライブ呼んでもらった時って、呼んでくれた人たちの顔って覚えてません?

さだ うん、覚えてる。

大圡 その感覚に近いと思います。一度お世話になったら、何か返すっていう感覚なんです。

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さだ なるほどねえ。でも俺らと確実に違うのは、ヤンキーは縦社会が強い。体育会系。

大圡 上下関係はたしかにキツめかな(笑)。

画面越しにさだまさしと対談をする大圡さん ©文藝春秋

避難所では「人相が悪いから」と断られることも

さだ そのかわり一度腹を決めたらすごいよね。千葉君も妹さんを亡くされてるのにすごく前向きで、「明友館」は避難所であると同時に他の避難所を支援してもいて。在宅避難の人たちには誰も手を差し伸べてなかったから、彼らは小回りの利くバイクで物資をどんどん届けに行っていたの。

大圡 あの時は行政に認可された指定避難所以外の自主避難所って数えきれないくらいあって、被災地で物資の“格差”が生まれてたんです。同じ被災者・避難者でも、行政に認定された指定避難所以外だと支援物資をもらうことができない。だからボンジャスでもそういった場所を中心に物資を持って回ってました。でもはじめ避難所では「人相が悪いから」って断られたりしましたよ。まあサングラスしてたり、指輪ジャラジャラしてたりで、見た目が悪いから仕方ないんですけど(笑)。

北海道地震の時には野菜の支援物資もあった (「BOND & JUSTICE」提供)

さだ ボンジャスはオーラがちがうからね。被災地行くと一目でわかる(笑)。

大圡 でも炊き出しに来てくれた川崎のアーティストで、頭までタトゥーが入ってる仲間がいるんです。彼が言っていたのは、「俺、人からこんなに面と向かって『ありがとう』って言われたの初めてかもしれない。むしろ俺が感謝だよ」って。

「頭までタトゥーが入っている」というボンジャスメンバーのキヨことRIDE RECO SOLDIERのK-YOさん (「BOND & JUSTICE」提供)

さだ いい話だねえ。僕の一番若い従兄弟も暴走族やってたんだけどさ、昔ヤンキーやってた人間が更生じゃないけど、スイッチ切り替わるとパワーがすごい。エネルギーの発散する場所が暴走族から被災地にかわると、普通に学校行って普通に就職してっていう人生を送ってきた人間には絶対にできないことをやっちゃう。他の人間が二の足踏んじゃうような場面でも、恐れずに被災地に駆けつける。

大圡 たしかに2015年9月の関東・東北豪雨の時は、茨城ってヤンキーの名産地なんで現役の女の子たちが原チャリに3ケツしながら炊き出しに来たりするんですよ。

さだ 3ケツはまずいな(笑)。でもさっきも言ったけど、災害があるたびにボンジャスが真っ先に被災地にいるんだよな。この行動力はすげえなって思ったよね。2015年に「風に立つライオン基金」を立ち上げてから、色んな被災地支援を一緒にやらせてもらってるんだけど、目から鱗じゃないけど、ボンジャスからは本当に学ぶことが多いんだ。

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