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“パクられる覚悟だけで輝くことができるんで”…当事者が語る“半グレ集団”が増え続けるワケ

『だからヤクザを辞められない 裏社会メルトダウン』より #2

2021/03/17

カッコだけで入ってくるバカは…

 話を聞くと、ヤクザの下請けのような存在で、しかもいざという時には「ケツを持って」もらえるわけではなさそうです。ならばなぜ半グレを続けるのか──。

「輝くことができるから。自由なのに力を持つことができる。バカには最高のチャンスです。たとえば、ある程度知られたグループなら、自分はそこの一員であるという自負がある。問題が生じた場合、『お前どこのグループ?』って聞かれて、『〇〇連合』と名乗れば、9割方は問題が収まります。組織じゃないけど、近い感じはある。

 しかも半グレは盃がないからスタートラインに立ちやすい。明日からでもオーケー。用意するとしたら『パクられる覚悟』だけ。でも、カッコだけで入ってくるバカにはこれが分かっていない奴が多いですね」

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©iStock.com

 自身、半グレでありながら、その勢力拡大の問題点をこう指摘します。

「半グレを作ったのは、日本の政府ですよ。やっぱり、裏社会の統制にはヤクザが必要なんじゃないですか。ヤクザが弱いと裏社会の規律がなくなる。ヤクザを法律で縛りすぎて半グレが増えたってことです。だから半グレの全体像を把握することは難しいんじゃないでしょうか。

半グレの犯罪行動を制御するのは困難

 たとえば、半グレをヤクザの事務所に出入りさせて盃を受けさせたら、法律でも対応できるし、把握できる。半グレも、ヤクザのルールに縛られて無茶はできない。そうする以外に、半グレの実態を把握し、犯罪活動を制御することは困難だと思います。

 ヤクザが存在して、彼らの出入りがあることで、夜の店も儲かったんじゃないですかね。彼らは恰好をつけるから、経済効果でいうと、ヤクザはいた方が店側にもプラスになるでしょうし。

 ともかく、これからも暴排を強化したら、暴力団自体が半グレ化してルールが無くなり、アメリカのような無法地帯ができるんじゃないかな」