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「主人は女性と蒸発しました」 家族の借金を肩代わりする女性に共通する“性格”とは?

『督促OL 奮闘日記』より #3

2021/03/21

source : 文春文庫

genre : エンタメ, 読書, 社会, 働き方

note

優良顧客、だけど……

 貸金業者が融資できるのは年収の3分の1までなので、年収1000万円だと333万円借りられることになります。

 私は督促という仕事柄、毎日何百人というお客さまの年収データを見て仕事をしています。もちろんその中には当然年収1000万以上という、婚活女性垂涎の男性も含まれています。でも、年収が大きくなればなるほど、借入をできる金額も大きくなってしまうのです。

 車のローンやカードでのショッピング、銀行でのカードローンなどはこの規制に当てはまりませんが、年収が高ければその分審査も通りやすくなります。若くて独身で年収1000万以上、でも莫大な借金付き……。実はそんな方々も残念ながら一部では存在するのです。

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 そして「とにかく年収の高い男性と結婚したい!」という目標で婚活をしている女性は、「年収が高ければ借金なんてしていないだろう」と信じ込み、結婚するときに相手にいくら借金があるのか確認するのを怠ることもあるのです。

 私が督促をするお客さまの中にも、既婚者で年収1000万以上の方がいます。でもそういった方々の中にも実は奥さまや家族に内緒で借金をしている方がいるのです。

©iStock.com

 年収1000万クラスになるとおつき合いも大変なのかもしれません。交際費の足しに、経費がおりる前の繋ぎに……。そうしてカードのキャッシングを利用しているうちに、ついつい限度額いっぱいまで使ってしまうようでした。

 年収1000万円以上の男性と結婚したい、と言っている女性が、いざ望み叶って結婚をして数年後、ひょんなことから旦那さんに数百万円の借金があることを知ったら……血を見ることになりかねませんよね。

「もし結婚相手が、実は俺、借金あるんだ……って告白してきたらどうする?」

「えー別れるー。借金ある男となんて結婚できないしー」

「心がせまい‼ アンタだってローンやキャッシングしたことあるでしょ!」

「あ、そう言えばあった」

「私も、車のローンなら数百万単位であるしなぁ……」

 今はクレジットであれローンであれ、お金を借りた経験のない人の方が少ない世の中です。だとすれば、結婚相手に選んだ人にだって借金があってもおかしくありません。

結婚する前に確認すべきこと

 年収1000万クラスのお客さまは督促をしても紳士的な態度の方が多く、お客さまとして、また結婚相手としても、とても魅力的な方々と言えます。でも、年収だけを目当てに結婚すると、いざ借金があったときの衝撃が大きいのです。

「だから年収だけじゃなくて、結婚前は相手の借金もちゃんと確認しようね」

 ドヤ顔で言いきる私に、

「なんかN本に言われても!」

「この前もダメ男にひっかかってたし……」

「う、うるさい! ほっといてよ~」

 我が意を得たりとばかりにタッグを組んで反撃しはじめる二人。それからえんえんと二人の餌食になって、少ししょっぱい紅茶をすする私でした。