彼女たちが肩代わりしてしまうのはなぜ?
何度も「奥さまに支払う義務はありません」ということを説明する私に、奥さまはかたくなに「入金します」と繰り返すのでした。そして、結局これからご主人さま宛に送られる請求書を確認後、任意で返済をしていただくということで落ち着きました。
(別の女性といなくなっちゃった旦那さんの借金を払うって、どんだけいい人なんですかー!)
同じ女として思わず同情して泣いてしまいそうになりますが、その後この女性は完済するまで旦那さまの借金の返済を続けたのでした。
以前にも彼氏にカードを使われてしまった女性に督促をしたことがあったのですが、私も同じ女だからでしょうか、どうも男性の借金を肩代わりしている女性に出会うと、複雑な気持ちになってしまうのです。
だめんず好きな女たち
そして、そんなことがあった数日後のこと。
「息子がご迷惑をおかけしました。お金は全て私がお支払いしますから」
「えっ、ええ⁉」
とても申し訳なさそうな声で、初老の女性から電話がかかってきたのです。
「ご、ご本人さま以外にはお支払いの義務はないのですが……」
またか!と思いながらも同じ説明をする私。
繰り返しになりますが、カードの支払いの義務は契約者本人にしかないので、たとえご家族であっても支払う必要はないのです。どうやらこの女性は私たちから送られた督促状を見て、初めて息子さまに借り入れがあり、それが延滞されていることを知ったらしいのです。でもその息子さまって、40代でけっこうよいお歳なのですが……。
「いいえ、私が払いますから‼ はやく支払い先を教えてください‼」
「だ、だから~」
そして結局、この方は自分の貯金で息子さまの借り入れを一括で返済してしまったのでした。
女性はなぜ男性の借金を払ってしまうのか。そんな悩みを抱える私の背後に、いつの間にかK藤先輩が立っていました。
「何悩んでんの?」
K藤先輩は私の教育係で、パートのオペレーターから契約社員、契約社員から正社員に上がったバリバリの叩き上げ社員です。昔、激務で有名な消費者金融で働いていたこともあり、業界のことにも詳しく尊敬している先輩です(かなり厳しいけど)。
「いや、男性のために借金を肩代わりする女性について……、ちょっとやるせない気分」
「本人が納得してるなら、しょうがないじゃない」
そうなのです、私にはなんの権限もないので、先方の任意の入金を断ることもできません。
「でもそういう女性は、いずれ変わるから大丈夫だよ」
「どういうことですか?」
「男の借金を肩代わりしちゃうような女の人って、相手が自分の子どもとか実の両親とかにまで迷惑かけはじめると、すっぱりと縁を切ったりするからね」
なるほど、良くも悪くも身内を大切にする人らしい行動です。
「だめんず好きな女性って男性の借金を払うことに快感を覚えちゃうのよね……。私がいなきゃこの人はダメ、みたいな。あんたもそんなタイプだもんね」
「そんなことありません‼」
「見えるなー。ダメ男の借金を肩代わりしているN本が」
「ヤ、ヤメテ~! 私は絶対肩代わりなんてしませんよー‼」
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