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「モンベルが、こんな近くにあったんだ」

 さっき教えてもらったので、「アルファベット」と「ちょっとずつ」は大丈夫。でも、明日になれば忘れているので、家族は結構大変です。つい1週間前にも、こんなことがありました。

 この日、いつものようにひとりで買い物に出かけた私は、ショッピングモールの中にあるアウトドアショップに入ってみました。

 私は子供の時から地図を読むのが得意でしたし、退院直後から道に迷わず、ひとりで近所を歩き回ることができたのです。

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 お医者さんが言うには、くも膜下出血になると4分の1が即死、4分の1が重症、4分の1が中くらい、4分の1が軽く済むそうです。私の場合は「中くらい」の程度だったのですが、お医者さんいわく「(壊死した部分が脳の重要な箇所から)ちょこっとだけずれていた」ために、もしかしたら地図をつかさどる部分が生き残ったのかもしれませんね。

©iStock.com

 アルファベットが読めない私は、お店の名前(ブランド名)がわからないまま「へえ、こんな店が近所にあるんだ」とウェアやバーナーを見ていたのですが、帰り道でふと、あの店がmont-bell(モンベル)だったことに気がつきました。以前は、夏休みになると家族で2間ほどキャンプに出かけていたので、ロゴに馴染みがあり、ブランド名を思い出したのです。

「モンベルが、こんな近くにあったんだね。私はアルファベットが読めないから店名がわからなかったよ」

 家族にそういうと全員が絶句しました。脳梗塞から10年も経ったのに、まだ私がローマ字読みに近い簡単なフランス語も読めなかったからです。

 小学生程度の読み書き能力しかない私には、アルファベットの小文字がなかなか覚えられません。そんなときには、机の壁に貼ってある紙を見ます。「あいうえお」「アイウエオ」「ABCDEFG」「abcdefg」などと書かれているのですが、どうしても気になるのが小文字の「b」と「d」です。どうして鏡に映ったようになっているんでしょう? 謎です。「g」は特徴があって目立つので、gを手掛かりにして「gの隣にあるのがf」と覚えるのですが、とても時間がかかります。

ひらがな、カタカナ、アルファベットを壁に貼っている