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お釣りの計算もままならない…左脳の4分の1が壊死してから10年、人気コラムニストの“対処法”

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2021/03/22
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べランダで野菜栽培

 そんな私の1日は、草木の水やりから始まります。

 夏は小さなプランターでトマトやナス、キュウリ、ピーマン、オクラなどの野菜を育てています。野菜を育て始めたのは30歳の時からなので、もう25年以上やっていることになります。

 一時期は完全にハマって、市民農園や実家などに小さな農地を3つも借りていました。

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 穫りたての野菜の味は格別で、簡単に調理するだけで本当においしい。感動するくらいおいしかったのはほうれん草とズッキーニ、ゴボウ。失敗したのは、そばとメロンです。ゴボウの花をご存じですか? ゴボウは高く伸びます。2メートルから3メートルくらい。一番上に、きれいな紫色の花をつけるのです。何も知らなかった私は、最初の頃、いきなり何が起こったのかと思いました。土を掘って収穫するゴボウは、香りも素晴らしいのです。

 残念ながら、病気をしてからは市民農園には行けなくなりましたが、野菜栽培は家のべランダで細々と続けています。

©iStock.com

10年ぶりに電卓に挑戦すると

 春になると、JAから手紙が届きます。私は毎年、育てたい野菜苗を選び、決められた書類に書き込んで申し込みます。いつもは娘が計算して申込用紙に合計金額を書き込んでくれるのですが、今年はたまたま外出していて不在でした。

 困った私は「もしかしたら、電卓があれば自分でも計算できるのではなかろうか?」と考え、10年ぶりに電卓に挑戦しました。でも、できません。1+5=5となってしまうのです。何度やってもできないので、旦那に相談したところ、どうやら私は「1=5=5」と打っていたようです。電卓さえ使えない自分にびっくりしました。

 植栽や野菜への水やりが終わると、ざるにキノコや大根などを乗せてベランダで干し、次に洗濯機を回します。衣類を洗濯槽に入れるときには、あえて動かしにくくなった右手でやります。これが私のリハビリというか、癖になっている唯一のことです。本当は何もかも右手でやった方がリハビリになるのでしょうが、面倒なので左手でやってしまいます。私は努力することが苦手なのかもしれません。