昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ツイッター社長に聞いてみよう

「なんで邦楽流してんだよ」MTV大改革で直面した社内の猛反発…たどり着いた“たったひとつのこと”

ツイッター社長に30の質問 #20

 2014年からツイッタージャパンの代表取締役を務める笹本裕氏。35歳のとき、ヘッドハンティングされ、MTVジャパンの副社長に就任する。ところが華々しい肩書きとは裏腹に、待っていたのはストレスで神経痛になるほど苦しい日々だった。

◆◆◆

ヘッドハンティングで転職。ポストは「副社長」

 ぼくは新卒でリクルートに入って、そのあと仲間と一緒に起業しました。しかし事業は思うように大きくならず、会社を売却することになります。仕事がなくなって「この先どうしよう」と思っていたときに、ヘッドハンティングされたんです。

 転職先は「MTV」というケーブル放送のチャンネルでした。本社はアメリカにあるのですが、日本に上陸するためにある会社を買収して、日本支社を立ち上げていた。その日本支社の「副社長」としてのオファーでした。2000年に入社して、その後2002年には代表取締役社長兼CEOになりました。

 

 ぼくにお声がかかったのは、リクルート時代にMTVと「日本進出のためのパートナー契約」の交渉をしたことがあったからでした。 そのときは契約には至らず、MTVは結局べつの会社を買収しました。でも日本支社の立ち上げにあたって「そういえば笹本というやつがいたな」と思い出してくださったのです。

 MTVのブランドはもともと知っていたので「あのMTVの副社長か」とワクワクしていました。端から見ると「なんて魅力的なポストなんだ」と思われていたでしょう。

 ところがいざ入ってみると、実態は聞いていた話とはまったく違っていたのです――。

「え、人事も財務も後任はぜんぶぼくってことですか!?」

 それこそ笑い話ですが、面接をした場所はすごくカッコいいオフィスだったので、実際に働く場所はさぞかしすごいんだろうと思っていました。でも行ってみるとまったく違って「これはだまされたかな?」と(苦笑)。おそらく面接のときのオフィスは、そのとき使っていた採用エージェンシーのものだったのでしょう。

 実際問題の仕事内容は……というと、最初に言われていた以上のことを求められました。

「買収した会社をMTV色に変えて成長させろ」というのが、ぼくの当初のミッションでした。買収した会社のもともとの事業体を解体して、人員も整理して、収益をあげていく。その全体の統括がぼくの役割のはずでした。

 ところが蓋を開けてみたら、買収した会社にいる人のほとんどは親会社の人で、その人たちは買収をうけて、親会社に戻ってしまうというのです。

 

 ぼくはなにも知らされていませんでした。突然、「実はぼくら明日からいなくなるんです」と言われたのです。「ええっ、人事部長がいなくなるんですね。えっ、財務部長も。え、後任はぜんぶぼくってことですか!?」

 結局、人事も財務もぼくがやるハメになったのです。生まれて初めて人事規定を読んで勉強するなど、それからはもう本当にハードな日々でした。