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ホストにハマり、大学をやめ性産業へ…『明日カノ』作者が語った“ホス狂”がここまでリアルなワケ

『明日、私は誰かのカノジョ』作者インタビュー #1

note

「ちょっと待って、今から萌を降ろすから」

ーーだからあそこまでリアルと言われているんですね。

をの そうかもしれません。モブキャラで自己肯定感がない女の子はこういう時にどういうことを思うのかを考えて、違和感があったらその部分を取り除いて、丁寧に作りました。ただ自分の中に萌の要素が全くないかと言われればそうじゃないなっていうなんか複雑な感じですね。難しい…。打ち合わせで萌の感情描写に詰まった時なんかは担当編集が「ちょっと待って、今から萌を降ろすから」と言って感情を説明してもらったりもしました。

ーー萌を降ろしていたんですね(笑)。ホストの営業方法やゆあてゃのセリフもリアルだと言われていますね。

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をの もし自分だったらこういうホストにハマるだろうなって考えながら楓のキャラを作りました。私もホストにハマったことがないのである意味萌と一緒にホストにハマっていった感じです。そしたらホストやっている方から「こういう営業方法ある!」って言われて、「あ、リアルだった」って思って。ダメだとわかっていてもはまってしまう沼ってホストに限らずありますよね。恋愛でも。ダメだとわかっても行ってしまう。その辺は自分の体験も踏まえたりしました。

(c)Hinao Wono/Cygames

ーーホストもパパ活もすべて女性目線で描かれているのは、何か理由があるんですか?

をの 結構それ言われるんです。女性の味方になって描いてくれてるとか。ただわたし的にあんまりそういう気持ちはなくて。今の日本のどこかしらにいる女性の日常を切り取って漫画にしている感覚です。だからこそリアルって言ってもらえるのかな。こういう女の子がいたらこういう行動するよねっていうのを漫画にしてるだけです。作品の中に出てくるキャラクターに極悪人もいなければ、すごくいい人もいないんですけどそれって世の中にも言えることじゃないですか。誰かにとってのいい人は誰かにとっての嫌な人だし。ただそこを描きたかったんです。