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溝口 だけど、中国人のほうが、トラやサイを絶滅に追い込むまで食料や薬にしていて、そういう体質が強いと思いますけどね。日本人は絶滅させるまで食べようとしないでしょ。

 ウナギについては、中小河川をさらえば獲れますよね。子供の頃は多摩川でよく獲りましたよ。そういう意味では、ウナギが絶滅危惧種だと言われても、あまり実感が湧かない。今は自然の河川で獲らなくなったから、むしろ増えているんじゃないですか?

鈴木 そういうデータもあります。絶滅する絶滅すると煽ることで、儲かっている人がいるわけです。事実、ウナギの価格って以前よりずいぶん上がりましたよね。学者のなかには、「絶滅させようと思っても絶対にできない」と言う人もいます。

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溝口 横浜の住宅街の河川にもいるようですからね。

牛の首を送りつける

鈴木 これは直接消費者には関係ない話ですが、漁業には漁業権があって、それを切り売りして生きている人もいますよね。20年くらい前に漁協の組合長が工藤會(九州の指定暴力団)の組員に射殺される事件があったじゃないですか。

溝口 北九州市?

鈴木 ええ。2013年にはその被害者の実弟が組合長になっていたんですが、また工藤會に殺されるという。おそらく、開発の利権が絡んでいる。

溝口 工業地帯の開発が進んでいますからね。工場と空港ができた。

©iStock.com

鈴木 利権というのは漁業権のことで、これは漁業補償の取り合いだと思うんですよ。漁業権って非常に大きな利権で、巨額の金を生むことがある。

 港湾エリアを開発する場合、漁業権を持っている地元漁師に対して補償金を払って、「この程度で勘弁してよ」とやるわけですよ。ここに食い込めば大きな金が流れてくる。

溝口 それだけでなくて、建設のために集まってきた生コン業者から上納金を納めさせるんですよ。これは大きいシノギになって、名古屋の中部国際空港建設では、地元・弘道会から六代目山口組組長になった司忍や若頭のナンバー2・高山清司がこれで相当儲けたと聞いています。

 知り合いのヤクザで「来るべき金が催促しても来ない」というので、羽曳野から牛の頭を仕入れて、それをその業者に送りつけたやつがいる(笑)。

鈴木 猫の死体や犬の首を置いておく脅しのエスカレート版。

溝口 映画の『ゴッドファーザー』で、馬の首をぶった切ってベッドのなかに放り込んでおくというシーンがありますが、あれと同じで牛の首を送りつける。普通、ビビりますよね。食肉だとこういう利用法がある。サカナだとこうはいかない。

鈴木 マグロのカマが送られてきたら、塩焼きにして美味しくいただきますよね(笑)。