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外出した数時間、彼女に何が…
無実の罪で容疑者が囚われたために、真実が見えなくなってしまう事件がある。この事件も、その一つなのだろうか。
深夜に外出した女子高生が全裸の遺体となって発見された事件で逮捕された男は、裁判で無罪を主張。一審で無期懲役の判決が下るも、二審で無罪となり、後に最高裁で無罪が確定した。真犯人は今も逮捕されていない。少女はなぜ被害に遭ったのか、また、真犯人は誰なのか――。彼女の足跡をたどりながら、事件を検証したい。
かつて旧日本海軍の軍港として栄えた港町・京都府舞鶴市。そこで起きたこの事件は、なんとも痛ましく、特異なものだった。
2008年の5月。外出したきり行方が分からなくなっていた少女が、同市内を流れる朝来川沿いの雑木林で無残な姿となって発見された。被害者は4月に高校へ入学したばかりのKさん。彼女がいなくなったのは同月6日の夜、発見されたのは8日の朝だった。死亡推定時刻は7日の未明。つまり、外出した数時間後に殺害されたものと思われる。その間に、いったい何が起きたのだろうか。
実は事件当夜、自転車を押す男と一緒に歩いているKさんの姿が目撃され、それは舞鶴市内の3か所の防犯カメラにも映っていた。彼女の自宅から遺体発見現場まで、その目撃情報や防犯カメラの地点を線で結ぶと、経路は約7km。歩いて向かうには相当な距離だ。彼女はなぜ、そこへ向かったのだろうか。その道をたどりながら、事件を振り返ってみたい。
内気で孤独な少女
Kさんの母親の話によれば、Kさんは6日22時頃に家を出たと見られている。そして23時55分に、自宅から数百m離れた国道27号線沿いにあるガソリンスタンド付近を一人で歩くKさんの姿が防犯カメラに映っていた。その直後の23時57分、彼女はプロフ(携帯サイトのブログ)に、〈イェイ 発見〉という書き込みと、工事現場の赤色灯のような画像をアップしている。彼女が何を発見したのかは、現在も謎のままだ。